日本の景気は「緩やかに回復している」ようだ。政府の判断は前回までの「持ち直している」から、2018年11月以来4年半ぶりとなる「緩やかに回復している」に引き上げられた。とはいえ、6月分から電気料金が大幅に引き上げられる。景気の先行きは、必ずしも楽観できない。それでも現状が改善していることは良い兆しだ。新しい資本主義も改訂版が出来上がった。ヒト、モノへの投資はこれから先も日本の景気を牽引することは間違いない。問題は財源だ。岸田政権は国民負担を伴わない財源を生み出せるか?結局はここが日本経済にとっての最大のキーポイントだ。異次元緩和は景気回復に寄与しないことはすでに証明済みだ。金融政策を軌道修正しながら、景気回復を実現させる。そのためには一般会計で100兆円を超える予算の規模を維持しながら、ワイズスペンディングの観点にたって予算を組み替えるしかない。

内閣府が8日発表した5月の景気ウオッチャー調査によると、景気の現状判断DIは55.0と前月から0.4ポイント上昇した。ロイターによるとコロナの規制解除で経済の正常化が進み、「会食やイベントなどの需要が増えた」ことが足下の景気をささえている。これを受けて政府の景気判断は前回までの「持ち直している」から、2018年11月以来4年半ぶりとなる「緩やかに回復している」に引き上げられた。現状判断DIの構成項目では、家計動向関連が54.9で前月から横ばい。企業動向は1.1ポイント上昇の54.3、雇用動向は1.3ポイント上昇の57.1だった。企業、雇用は上昇傾向を示しており、景気の先行きに明るさが感じられる。気になるのは相変わらず家計動向だ。現状判断DIの構成項目のなかでは、家計動向だけが横ばいとなっている。インフレ継続が家計の足を引っ張っているのだろう。

明るさは続くのか?ロイターによると「人流が活発に動き、特に高速パーキングエリアや街中にある店舗などで売り上げが増加した」(四国=コンビニ)、「総会などの会合が復活し、人が集まり、手土産需要が増えている」(南関東=食料品製造業)といった声とともに、一人当たりの単価の上昇もみられたと明るい面が広がっている。ただ、2─3カ月先の景気の先行き判断DIは、前月から1.3ポイント低下した。「エアコンを使用した際の電気代などを考えると当店も値上げは必須。客がどこまでついてこられるかが心配」(北関東=一般レストラン)との声があったという。当然だろう。岸田内閣の経済政策は概ね合格点がつけられる。問題は必要財源をどうやって調達するかだ。解散含みの政局も関係しているのだろう。総理もこれまで財源は明らかにしていない。総選挙も予想される。明かさない財源、それは増税を意味するのだろうか・・・。