21日(水)の午後7時半から放送された「クローズアップ現代」を観た。タイトルは「学童落ちた!仕事どうする?」。このタイトルをみてすぐ思い出した。「保育園落ちた 日本死ね!」のあのツイートだ。あれは2016年3月のことだ。あれからもう7年強が過ぎた。岸田政権は異次元の少子化対策として児童手当の大幅拡充に踏み切った。「死ね」のツイートには「保育園増やせないなら児童手当20万円にしろよ」という一文があった。拡充される児童手当が一人当たり月1万円とすれば、年間では12万円になる。20万円には届かないものの、7年前に保育園を落ちた児童の母親が乱暴な言葉で書き殴った希望が、少しだけ実現したことになる。このツイートが政府を動かしたわけではないと思うが、問題解決に向けて政府もそれなりに努力しているということだろう。クロ現はあの時の見出しに引っ掛けて、問題が園児から学童に広がっていると問題提起した。

映像や音を使ってクロ現は、横浜市内の学童施設で実際に行われて保育の実体をレポート。収容人数が160人の施設に約220人を受け入れている施設の実態はギューギュー詰めで、子供達が発する泣き声や嬌声が91デシベルを超えた。これは建築現場の騒音に近いという。学童保育は学校や公共施設を使って実施されているが、収容人数には一応の基準がある。学童一人当たりの面積は1.65平方メートルと定められているそうだ。ただしこれは参酌基準であくまでも参考値、強制力はない。待機学童を減らすため、地方自治体はあえてギュウギュウ詰めを選択しているのだろう。施設に勤務する職員の「私たちではどうにもなりません」という言葉が耳に残った。クロ現によると学童保育を利用する人数は2000年に39万人強だったが、22年には139万人強に達している。22年間で100万人増えたことになる。施設や先生は増えているのだろうか、気になる。

学校側も対応に努力している。その一つは市民先生の採用だ。民間のスポーツジムとの協業で、児童に体操を教えている。官民が協力し地域ぐるみで学童保育を担う試みだ。どこもかしこも人手不足。こうした試みが児童の心身の開放につながればいいと思う。日本の子供は宿題や塾、お稽古ごとに追われて超多忙だ。学童保育が好きな時に、好きなことができる“開放の場”になればいいと個人的には思う。だが現実は学校の先生も、共働きの父母も、そのもとで育つ児童もみな多忙だ。遊ぶ時間も、遊ぶ場も少ない。なけなしの学童施設はギューギュー詰め。先生も子供も両親もみな不満だ。先生の仕事を減らし、子供が自由に遊べる時間と場所を増やし、共働きの両親の手取りを大幅にアップする。経済力世界第3位の日本で、どうしてそれができないのだろうか。7年前の母親の“怒り”はいまだに解消されていない。