• 円ほぼ全面高、米経済が予想外に加速、ECB追加利上げに含み
  • 銀行資本規制の抜本改革始動、パックウエスト救済劇の立役者

世界が猛暑に見舞われています。また先月ニューヨーク市上空を不気味なオレンジ色に染めたカナダの山火事により、同国の今年の炭素排出量は前年比で少なくとも倍以上になる見通しです。熱波や山火事のニュースが相次ぐなど異常気象への懸念が高まっていますが、米株高をけん引する人工知能(AI)ブームも環境問題とは無縁ではありません。コンピューティング能力の増強に向けて拡張の続くデータセンターは大量の水やエネルギーを必要としており、環境への負荷が危惧されています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

円が急伸

日銀がイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)修正を議論するとの報道を受け、円が急伸。対ドルでは一時1%余り上昇し、138円77銭を付けた。対ユーロでは2%余り上昇して3月以来の大幅高。日本経済新聞によると、長期金利の操作の上限は0.5%のまま据え置くものの、市場動向に応じて0.5%を一定程度超えることも容認する案が浮上しているという。BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、イアン・リンジェン氏は日銀会合について「政策変更なしという見方が共有されていたが、はるかに不確実になった」と述べた。

予想外の加速

4-6月(第2四半期)の米実質国内総生産(GDP)速報値は前期比で年率2.4%増と、前四半期の2%増から予想外に勢いを増した。予想を上回る個人消費と、堅調な設備投資が寄与した。ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルキ氏は「金融政策スタンスが景気抑制的になっているにもかかわらず、経済成長ペースは期待を上回っている」とリポートで指摘。「雇用の好調な伸びと実質所得の増加が家計セクターを引き続き支えており、その強さが今年の経済を順調な成長軌道に維持するだろう」と続けた。

予断持たず

欧州中央銀行(ECB)は0.25ポイントの利上げを実施し中銀預金金利を3.75%とした。引き締めサイクルは終わりに近づいているが、次回9月会合での追加利上げの可能性は残した。ラガルド総裁は「9月とその後の決定についてはオープンな考えだ。利上げをするかもしれないし、据え置くかもしれない」と発言。据え置く場合は「必ずしも長期間続けるとは限らない」と述べた。声明は「景気抑制の適切な水準と期間を決定するに当たり、データ依存のアプローチを続ける」とした。

抜本改革

米銀行資本の規制を抜本的に改革する計画が明らかにされた。大手銀行は想定外の損失に備える余剰資本をさらに積み上げる必要に迫られる。連邦準備制度理事会(FRB)と連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)が27日に開示した計画案では、資産1000億ドル(約14兆1200億円)以上の銀行に義務付ける余剰資本が推定16%押し上げられる。上位8行は約19%の増額を求められる。中堅行には、従来なら最大手行が対象だった資本基準が適用される。

またもダイモン氏

米パックウエスト・バンコープは借り入れを重ね、窮地に追い込まれていた。そこに商機を嗅ぎつけたのが同社の5分の1ほどの規模のバンク・オブ・カリフォルニアだ。しかも、ディールに前向きなプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社の資金も豊富に待機していた。パックウエストは結局、政府の介入を必要とせず、ディールを成立させて苦境を脱した。この救済劇の陰の立役者がJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)だ。

その他の注目ニュース

中国の政策、路線変更の兆し-習氏の権力基盤でほころび露呈

業務スーパー創業者が描く日本の地熱発電の未来-スピード感が鍵

安い大阪の不動産、アジアの投資家が熱視線-万博やIRで成長期待