内閣府が今朝発表した4−6月期のGDP成長率は、実質で前期比1.5%増、年率換算すると6%増と驚くような数字だった。プラス成長は3四半期連続。岸田総理はこの数字を見て多分大喜びしているだろう。だが数字をよくよく眺めてみると喜ぶような実態ではない。年率で6%という実質成長率の貢献度を項目別に見ると、プラスは輸出の3.2%、公共投資の1.2%、政府消費の0.1%。マイナスは個人消費の0.5%、民間在庫の0.2%、輸入の4.3%。設備投資は±ゼロという内容だ。GDPは日本国民が生み出した付加価値の合計である。トータルで高い伸び率を示したこと自体は喜ぶべきことだ。問題は中身。GDPの6割から7割は個人消費だ。大黒柱である個人消費がマイナスでは、とてもではないが日本経済が健康になったとはいえない。

では何がGDPを押し上げたのか。貢献度が大きいのは輸出だ。世界経済が停滞気味に推移する中で輸出が増えたことは明るい兆しだ。輸出は前期比3.2%増で2四半期ぶりにプラスになった。半導体の供給制約が緩和され、日本が得意とする自動車関連が増加した。コロナの5類移行に伴い訪日外国人が回復したことも大きい。インバウンド消費は計算上、輸出に分類される。この二つの要因が輸出の伸びを支えた。反対に輸入は4.3%減で3四半期連続のマイナス。マイナス幅は1〜3月期の2.3%減から拡大した。日経新聞によると原油など鉱物性燃料やコロナワクチンなどの医薬品、携帯電話の減少が全体を押し下げたという。なぜ輸入はマイナスなのか。原因は個人消費が実質でマイナスになっていることだろう。輸出がふえても実質賃金が増えなければ個人消費は増えない。個人消費が増えなければ輸入も増えない。日本経済に潜む最大の問題だろう。

再び日経新聞、「コロナ禍からの正常化で外食や宿泊が伸び、自動車やゲームソフトの販売も増加した。一方で長引く物価高で食品や飲料が落ち込み、コロナ禍での巣ごもり需要が一巡した白物家電も下押し要因となった」という。個人消費が伸びない要因は実質賃金の伸び悩みにある。総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比3.4%上昇している。これに対して雇用者報酬は名目で前年同期比2.6%増とふえているものの、物価の上昇を差し引いた実質では0.9%減となっている。実質賃金の減少は7四半期連続だ。物価の上昇に賃金が追いついていない。これを放置したままでは、日本経済はいつまで経っても健康にならない。累積した賃金のマイナス状態を解消するためには、物価を上回る大幅な賃金の上昇が必要だが、岸田政権も日銀も財務省もこの問題に手をつけようとしない。腹の中では増税を考えている。ここに日本経済の宿痾がある。