リード スティーブンソン、稲島剛史

  • 兼任していたトヨタの役職から退任し、ウーブン経営に専念していた
  • 車載ソフトの重要性が高まる中、ウーブンには豊田氏が私財投じる
ジェームス・カフナー氏
ジェームス・カフナー氏

トヨタ自動車傘下で自動運転技術の開発などを行う子会社、ウーブン・バイ・トヨタは7日、ジェームス・カフナー最高経営責任者(CEO)が退社すると明らかにした。

  発表によると、同氏はウーブンの取締役からも退き、10月1日付でトヨタのシニアフェローに就任する予定だ。

  カフナー氏の後任として、自動運転などの統合制御ソフトウエア開発を行うJQuAD DYNAMICS(ジェイクワッド・ダイナミクス)の社長を務める隈部肇氏が就任する。ジェイクワッドにはトヨタ系の部品メーカー、デンソーが65%を出資している。

  米グーグル出身のカフナー氏(52)は2016年にトヨタの関連会社に入社し、20年には本体の執行役員、取締役に就任した。豊田章男氏の後継社長に佐藤恒治氏が起用された後、カフナー氏は兼任していたトヨタ本体の役職から離れウーブンの経営に専念していた。

  同氏は今後はトヨタのシニアフェローとして、ソフトウエアエンジニアの育成やソフトウエア開発におけるビジョンの伝承に取り組んでいくとのコメントを出した。

relates to トヨタ傘下ウーブンのカフナーCEOが退社へ、本体のフェローに
ジェームス・カフナー氏

  ウーブンは自動運転技術のほか、車両ソフトウエアプラットフォーム「Arene(アリーン)」の開発、富士山麓の静岡県裾野市で実験都市「ウーブン・シティ」の建設も行っている。自動運転技術や車載ソフトウエアの重要性は高まっており、ウーブンにはトヨタ会長の豊田氏が私財50億円を投じているほか、同氏の長男である豊田大輔氏も幹部を務めている

  ウーブンは発表で、役員体制の変更は「アリーン」が先行開発から実装フェーズに移行することとウーブン・シティの実証開始を見据えたものと説明した。体制変更を踏まえ、「経営層が現場の近くで迅速な意思決定を行う体制に移行」するという。

  また、トヨタは同日、車の知能化やソフトウエア実装を迅速に進めるフェーズへの移行に対応するため、トヨタとウーブンにデンソーを加えた3社での連携を強化していくと発表した。トヨタ内ではソフトウエアに関する事業や開発を一体で推進する体制にしていくという。

  カフナー氏は米スタンフォード大学でコンピュータ科学ロボティクス研究所博士号を取得し、その後09年から16年まで勤務したグーグルでは自走車開発の創設メンバーの1人だった。前期(23年3月期)にはトヨタの取締役としての分を含め、豊田氏を上回る13億3000万円の報酬を受け取った

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