阪神タイガースが18年ぶりのリーグ優勝を決めた。優勝の二文字は選手を固くさせる、そんな思いから就任1年目の岡田監督は優勝という言葉を封印。代用したのが“アレ”だ。こんな事実を知ったのはつい2、3日前。「アレに向けて頑張る」、岡田監督の心遣いが、選手の伸び伸びとしたプレーを引き出した。18年間溜まりに溜まったファンの鬱屈した思い。それが弾ける。道頓堀川に飛び込もうとするファン、止めようとする警官。イタチごっこは渋谷のハロウィンに並んで日本の風物詩になった。弾ける思いの裏には、勝てそうで勝てないファンの鬱屈した長年の“思い”が隠されている。阪神ファンになるということは、コレに耐える辛抱強さが必要ということか。先輩、後輩、同僚、身の周りにいる、あるいはいた、熱狂的な阪神ファンの顔が浮かんでくる。常勝だった巨人ファンは、いまコレを痛いほど味わっているのだろう。

「優勝を封印したアレはリーグ優勝まで。日本リーグ優勝の代わりの言葉は決めていない。いい言葉があったら教えてほしい」、優勝インタビューで岡田監督はこう言った。これに応えて思いついたのが“ソレ”。リーグ優勝の後に控えるクライマックスシリーズを勝ち抜いて、次は“ソレ”を目指そう。最近、プロ野球はほとんど見なくなってしまったが、セ・パ両リーグの力関係はパリーグ優位に傾いている。WBCを優勝に導いた大谷も吉田もパリーグに所属していた。セリーグ復活のためにも、阪神には是非“ソレ”を勝ち取ってほしい。岡田監督には日本代表監督を務めた栗山監督に似た選手掌握力があるような気がする。プロの選手が優勝の二文字で萎縮する。かつての巨人のように常勝球団ならいざ知らず、18年も間隔が開けばプロの選手でも緊張し、萎縮する。そんな現実をさりげなく回避できた“アレ”、昨年の「村神様」についで流行語大賞にノミネートされるだろう。

岡田監督で思い出すのは巨人戦でバックスクリーンに打ち込んだホームランだ。1985年4月17日、開幕直後の優勝候補巨人との3連戦。1勝1敗で迎えた3戦目。開幕ダッシュできるかどうか、重要な一戦だった。投げるのはエース槙原。打撃好調の阪神は3番バース、4番掛布、5番岡田。7回裏、主砲の3人が立て続けにバックスクリーンに叩き込んだ。いまでも語り継がれる「伝説の3連発」だ。この年阪神は吉田監督の元で21年ぶりにリーグ優勝を果たしている。今年のリーグ優勝は18年ぶり。この球団の優勝にはいつも長い長い間隔がつきまとう。この間隔が阪神ファンの接妙な心理醸成効果を生み出している。阪神優勝の経済効果は800億円を超えるという試算があるそうだ。WBCだって約600億円強にとどまっている。恐るべき阪神効果。リーグ優勝にともなうアレ、コレ、ソレ。阪神ファンならずともみんなでこの優勝に拍手を送ろう。

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