この週末、ウクライナ情勢で気になる出来事が相次いだ。最大の懸念は米国内で反ウクライ感情が表面化したこと。次がスロバキアの国民議会選挙で親ロシアの左派「スメル(道標)」が第1党の座を確実にしたこと。同党は政権獲得後にウクライナへの武器供与を停止すると公言している。スロバキアはEU加盟国であり、NATOにも加盟している。単独で過半数を獲得した政党がないため、これから連立工作がはじまる。仮にスメルを軸とした政権ができあがると、ウクライナだけではなくEUや西側諸国にも多大な影響が及ぶ。穀物輸出問題では、最強の支援国である隣国ポーランドとウクライナの関係がギクシャクしている。そんな中で米議会は政府機関の閉鎖回避に向けた暫定予算で、ウクライナ支援の関連予算を除外した。民主党が共和党に歩み寄った。こうした一連の出来事に関連性はないが、強いてあげれば各国ではじまった支援疲れの顕在化だろう。

時事通信によるとスロバキアはこれまで、「いち早く旧ソ連製戦闘機『ミグ29』を供与するなどウクライナを強力に支えてきた」。これに対しスメルを率いるフィツォ元首相は、「ウクライナへの武器供与が紛争の長期化につながっている」と指摘、「政権を取れば武器や弾薬はもう送らない」と主張してきた。同党の得票率は約23%。第1党になったが議会の過半数を確保したわけではない。これからはじまる連立工作にウクライナ戦争への対応が託されることになる。問題はウクライナ支援の裏側で国民生活が苦境に陥っていることだ。「資源をロシアに全面依存してきたスロバキアはウクライナ侵攻後、深刻なエネルギー不足に陥り、今年7月まで2桁の高インフレが続いた」(時事通信)。こうなると「経済基盤の弱い東欧諸国の市民生活を直撃。一方で安価なウクライナ産穀物の流入も地元農家らを圧迫し、支援疲れにつながっている』(同)。正義よりもパンを優先せざるを得なくなる。

世界最大の経済大国である米国とて事情は同じだ。まして共和党を牛耳るトランプ前大統領の公約はMAGA。米国第一主義で民主主義も強権国家も関係ない。米国を再び偉大な国にする。それが最大の目標だ。ウクライナを支援する前にメキシコ国境に難民の流入を防ぐ壁を作ることを優先する。対するバイデン政権。大量の難民を受け入れながらウクライナを支援する。一見良さげだがこの政策に将来性があるとも思えない。難民の流入もウクライナ戦争もエンドレスに続く。それは終わりなき破滅に近い。世界中を覆っている物価高はプーチンのウクライナ侵攻に起因する。東欧諸国を覆う市民の生活危機を打開する鍵は戦争の終結だ。民主党と共和党が対立、さらに共和党内の分裂も加わって、米国にこの局面をリードする指導力は期待できない。頼りは中国か。このところ米中接近のニュースが目につく。水面下で何かが動いているのか?中国のアキレス腱は経済不振。11月にはAPEC首脳会議がサウンフランシスコで開催される。米中首脳会談はあるか?

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