• 今年の財政赤字、GDP比約3.8%に引き上げ-国債1兆元を追加発行
  • 習主席は異例の人民銀訪問-経済と金融市場への支援重視の兆し

中国の習近平国家主席が経済を支援する姿勢を鮮明にしている。追加の国債発行や財政赤字拡大を決めたほか、異例の中国人民銀行(中央銀行)訪問を行った。

中国の習主席が異例の人民銀訪問、経済重視の兆し-関係者 (1)

  全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、2023年の財政赤字を対国内総生産(GDP)比で約3.8%に引き上げる計画を承認した。3月に設定していた3%を大きく上回る水準だ。

  これには10-12月(第4四半期)に1兆元(約20兆5000億円)相当の国債を追加発行することが含まれ、調達資金は災害救助や建設の支援に充てられる見通しだと、国営新華社通信が24日伝えた。

  中国が年度途中に予算を修正するのは異例。過去には2008年の四川大地震、1990年代終盤のアジア金融危機の発生を受けた時など数回しかない。

  キャピタル・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏は「この日承認された追加景気対策は、われわれが想定していた介入であり、年末にかけて急激な財政引き締めが起きるのを防ぐために必要だった」と指摘した。

  24日に閉幕した全人代常務委員会では予算修正のほか、主要閣僚の交代も相次ぎ発表された。2カ月前から動静が途絶えていた李尚福国防相を更迭したほか、既に外相を解任されていた秦剛氏は、残る国務委員の地位も剥奪された。また劉昆財政相の後任として、藍仏安氏を指名した。

中国が李国防相を解任、秦前外相を国務委員から除名-CCTV (2)

  今回の予算修正は、来年にかけて景気の先行きに指導部が不安を抱えていることを反映しており、政府が経済と金融市場の強化を重視していることの表れだ。これに先立ち、習氏は人民銀を訪問。公表されている習氏の人民銀訪問は、10年前の主席就任以来初めて。

  ブルームバーグニュースは今月、中国の政策担当者が今年の5%成長目標の達成に向けて、財政赤字拡大や国債増発を検討していると報じた。シティグループのエコノミストはその際、財政赤字の対GDP比を引き上げれば成長目標達成への「政策担当者の危機感を示す」との見方を述べていた。

中国が新たな刺激策検討、財政赤字の上限突破容認か-関係者 (2)

原題:China to Make Rare Mid-Year Budget Tweak, Issue Sovereign DebtXi Steps Up Economic Aid With New Debt Issuance, PBOC Visit (1)