イスラエル・ハマス戦争は、イスラエル軍がガザ中心部に侵攻、連日目も当てられないような悲惨な戦闘が続いている。週末にはガザ地区最大規模の医療機関であるシファ病院が攻撃の対象となった。イスラエル、ハマス両軍とも相手側の攻撃と責任の擦り合いをしている。どちらの言い分が正しいか部外者には判断しようがない。だが、世界中の世論はイスラエルに非がると受け止めている。イスラム諸国やアラブ連盟は12日、サウジアラビアの首都リヤドで緊急の合同首脳会議を開催。時事通信によると「イスラエルによる空爆や地上侵攻を強く非難した」。それだけではない。フランスのマクロン大統領は英BBC放送のインタビューで「赤ん坊や女性、高齢者が理由も正当性もなく命を落としている」(時事通信)とイスラエルを批判した。こうした動きに対してイスラエルのネタニヤフ首相は、「世界の指導者はイスラエルではなく、ハマスを非難すべきだ」(同)と反論した。

どちらの言い分が正しいかではない。圧倒的な軍事力を有するイスラエル側に、この局面での非があることは間違いない。ではハマスには負うべき責任はないのか。そうではないだろう。11日付で時事通信は「ガザ取材30年、見逃した二つのこと、共生『永遠に不可能』―イスラエル人ジャーナリスト」という記事を配信している。ガザを30年以上わたって取材して、ガザやパレスチナ人の実情に通じた人物であるシュロミ・エルダール氏に対するインタビューをまとめたものだ。イスラエル人とパレスチナ人が協力する姿を追い求めてきたエルダー氏。記事には次の一節がある。「私は二つのことを理解していなかった」と。その一つが、ハマスのガザ地区トップ、ヤヒヤ・シンワル氏の人物像だという。捕虜交換でイスラエルから帰還した時、「バスに乗る人々とは別に、黒のメルセデス・ベンツに乗り込んだのがシンワル氏だった」。

まだある。ディアによるとカタールに在住しているハマスの最高幹部、イスマイル・ハニヤ氏の個人資産は日本円にして3,000億円に達するという。この人物は10月7日のハマスによる奇襲攻撃を伝えるテレビの画面を、カタールの超豪華ホテルの一室で微笑みながら見ていた、とテレビ朝日が報じている。ベンツにしろ、豪華ホテルにしろ、ハマス幹部の振る舞いはパレスチナ人を命がけで守ろうとしているようには見えない。言葉は悪いが、ガザの悲劇をネタに私腹を肥やしているのではかいか、そんなふうに見えてしまう。イスラエルとパレスチナの紛争の裏には宗教や民族が絡み、ユダヤ人虐殺の歴史が影を落とす。過去をひきずりながら現在があるとはいえ戦闘や抹殺ではなく、新たな憎しみを生まないためにも譲歩の道はないのか。イスラエルも異常だが、ハマスに正当性があるとも思えない。

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