自民“戦々恐々”

「赤旗」日曜版報道が発端

 「しんぶん赤旗」日曜版のスクープが政権を直撃しています。自民党の主要5派閥(政治団体)が政治資金パーティーの収入計約4000万円を政治資金収支報告書に記載していなかった疑惑で東京地検特捜部が捜査、国会でも日本共産党や立憲民主党が追及しています。党総裁として岸田文雄首相の監督責任が問われるだけにとどまらず、首相自身が会長を務める派閥も含まれており、政権の危機を指摘する声が相次いでいます。


政治団体名不記載額
清和政策研究会(安倍派)1952万円
志帥会(二階派)974万円
平成研究会(茂木派)620万円
志公会(麻生派)410万円
宏池政策研究会(岸田派)212万円
合計4168万円

 この問題は「しんぶん赤旗」日曜版(昨年11月6日号=写真)が報じ、神戸学院大学の上脇博之教授が政治資金規正法違反の疑いで告発。東京地検特捜部は各派の事務担当者らを任意で聴取しているといいます。

 問題が指摘されたのは安倍、麻生、茂木、岸田、二階の5派。岸田首相(党総裁)は今も宏池会(岸田派)の会長を務めているほか、各派の責任者には政権中枢を担う閣僚も見られます。新藤義孝経済再生担当相は、茂木派の事務総長。安倍派では松野博一官房長官と西村康稔経済産業相がいずれも事務総長経験者です。

 21日の衆院予算委員会では、首相らは「政府の立場としてはお答えを差し控える」と口をそろえ、まともに答えませんでした。実態把握せず説明責任すら果たそうとしない姿勢に国民の不信はさらに強まりそうです。

 ある自民党議員は今回の疑惑について、薗浦健太郎・前自民党衆院議員が18~20年の収支報告書でパーティー収入など計約4600万円の過少記載に関与していた問題と同じだとし、「政権にさらに大きなダメージだ」と指摘。5派閥の事務関係者などの逮捕や立件もあり得ると警戒しています。薗浦氏は今年1月、政治資金規正法違反罪で東京簡裁からの略式命令に不服申し立てせず、罰金100万円、公民権停止3年が確定しています。

 21日放送のテレビ朝日「モーニングショー」でジャーナリストの田崎史郎氏は、東京地検特捜部が証拠固めをしているとし、「(臨時)国会が終わる12月13日の後、国会議員の捜査に及ぶのではないかと自民党の人たちは戦々恐々としている」と語りました。

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