岸田総理の命脈はすでに尽きている。命綱ともいうべき財務省が見切りをつけたのだ。主要メディアにそれに類する情報はない。だが、いろいろな情報を総合的に考えるとそう見えてくる。それに気がついたのは鈴木財務大臣の次のような発言だ。「税収の増加分は使い果たした。(岸田総理は税の)増収分を還元すると言っているが、還元する財源はすでにない」。麻生副総裁の強い推しで財務大臣に就任した鈴木氏は、言ってみれば岸田総理の“守護神”のような役割を担っている。その鈴木氏が総理の発言を否定するかのような言葉遣いをしたのだ。この発言は岸田総理が打ち出した経済対策を左右するものではないが、総理と財務省の歪んだ関係をものの見事に浮き彫りにした。財務省はすでに岸田内閣に見切りをつけている。岸田総理は水面下でまだ抵抗しているのだろう。それをみて今度は財務副大臣が税金を納めていない事実をリークした。岸田総理と財務省の縁の切れ目はなんだったのか?おそらく減税だろう。

岸田総理は補正予算成立後の記者会見で、石油価格の引き下げに向けて「トリガー条項発動の検討を指示した」と発言した。トリガー条項は、総務省が毎月発表しているガソリンの全国平均小売価格が3カ月連続で1リットル当たり160円を超えた場合、価格に上乗せされるガソリン税53.8円のうち上乗せ分25.1円が免除される制度だ。国民民主党の玉木代表が早くからこの条項の発動を要求、岸田内閣は即決しなかったものの前向きな印象を与えたことを理由に、国民民主党は予算案に賛成するという政治行動に打って出た。この条項、法律の建前からすればとっくに発動されて然るべきもの。これに反対し続けているのが財務省だ。補正予算成立を受けた岸田総理の発言は、財務省に対する“当てつけ”のようにも見える。切られた総理のせめてものしっぺ返しか。財務省は岸田総理を徹底的に利用するが、岸田総理の要請はガンとして受け入れない。「財政再建」が錦の御旗。非情な役所なのだ。

トリガー条項を認めない財務省は何と言ったか。「トリガー条項の発動には1兆5000億円の財源が必要になる」(鈴木財務大臣)。この発言にYahooが噛み付いた。「政府は2022年1月からガソリン価格の激変緩和措置として、石油元売り会社に補助金を支給することで卸売価格の抑制を図ってきた。2023年9月までに投じられた補助金は6兆2000億円にのぼる」。1兆5000億円は認めないが、6兆2000億円は気前よく予算計上する。玉木氏は言う。「物価が上がれば消費税は増えます。インフレになると税収が増える構造になっている。本来なら基礎控除を引き上げないと国民負担は増えてしまう。だから減税が必要ですが、期間限定の定率減税というやり方がまずい」(11月25日付)。岸田、麻生の両氏はともに3世議員。鈴木氏は2世で麻生氏と姻戚関係にある。これに財務省が絡む。なるほど、日本の未来が明るくならないわけだ。

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