本日をもって臨時国会が閉幕。自民党の5大派閥を取り巻く“パーティー券疑惑”の捜査が本格的に始まる。一方で、来年度予算の編成が急ピッチで進んでいる。岸田総理が推進している税金の還元策でもある「定額減税」や、異次元と称する「少子化対策」も、“パー券疑惑”のどさくさに紛れてどんどん骨抜きされている。結局この国を実質的に動かしているのは財務省か。アルファベッドで表記すればZaimusyo。頭文字はZ。どこかの国を侵略する独裁国家の戦車の脇腹に記された文字と一緒だ。なんとなく空恐ろしい。NHKは6日付で「高校生などの扶養控除額 児童手当拡大で引き下げ検討」という特ダネを配信している。異次元対策で高校生にも児童手当が支給されることになっているが、それと引き替えに「高校生の扶養控除の額を引き下げる」という内容だ。

扶養控除額を引き下げの効果は増税と一緒だ。政府は増減税を差し引きすればすべての世帯が増収になると説明している。仮にそうだとしても、異次元対策の具体策を発表する段階で、扶養控除引き下げの方針に言及すべきだろう。それをしないで減税だけを公表する。これは明らかに“増税メガネ”だ。同じような内容の記事が昨日の日経新聞(Web版)に掲載された。「大企業、7%賃上げで法人税最大35%控除 税制改正案」。政府税制調査会が15日にまとめる来年度の税制改正大綱に盛り込まれる施策のようだ。こちらは高校生の扶養控除額引き下げと反対に、7%以上のベアを行なった企業に対して35%の税額控除を認めるという案だ。実質的な減税となる。賃上げを推進したい岸田政権の意向に沿った対策なのだろう。庶民にはあとで増税を突きつけ、大企業には減税で媚びを売る。異を唱えない日経はメディアとは言えない。

大幅ベアの実現。一見良さげにみえる。だが、対象となる大企業に問いたい。「政府の後押しがなければ大幅なベースアップはしないの?」。おそらくそうなのだろう。水面下で経団連が政府に働きかけていたのではないか。経団連の十倉雅和会長はかつて「消費税などの増税から逃げてはいけない」と発言している。その気持ちはいまも変わらないだろう。こういう発言と今回の税額控除を並べてみると、水面下で何が行われていたか想像がつく。大幅なベアは従業員のためではない。逆に読めば減税で浮いた分をベアに回しますと言っているようなものだ。パー券疑惑と一緒のキックバックだ。政府頼りの大企業、これでは厳しい国際競争に勝てるわけがない。本末転倒のベア論議だ。岸田総理は大幅なベア実現に向けて「企業の稼ぐ力を支援する」と公言している。これもその一環だろう。競争を原則とした自由経済がまるでわかっていない。何が新しい資本主義か?ダメダコリャ。

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