パーティー券疑惑をめぐり東京地検の捜査が今週から本格的にはじまる。捜査は既に始まっているわけだから、正確に言えば国会議員、とりわけ安倍派議員を対象とした事情聴取がはじまる、これが正確な表現だろう。そんな中で目についたのは、時事通信が先週金曜日(15日)に配信した次の記事だ。「トランプ氏、集金力でも強さ 『草の根』中心、訴訟費用にも充当―共和候補選考開始まで1カ月・米大統領選」。トランプ氏の政治団体に対する23年1~9月の献金額が「合計で約5669万ドル(約80億円)」に達したというニュースだ。対抗馬のデサンティス・フロリダ州知事(45)は「約3164万ドル(約45億円)」、ヘイリー元国連大使(51)は「約1870万ドル(約27億円)」。バイデン大統領は「約4465万ドル(約63億円)」だ。トランプ氏の集金力は軍を抜いている。

集金力の源泉は何か?記事に戻る。「米メディアによれば、トランプ氏の資金は約95%が小口献金で、持続的な『草の根の強さ』を示している。これに対しデサンティス氏は40%以上、ヘイリー氏は30%以上が上限額(3300ドル=約47万円)の献金者という」。トランプ氏が集めた資金の大半は「小口献金」だとある。意外な気がする。パーティー券疑惑で問題となっているのは、企業が買ったパーティー券だ。直近5年間でキックバックされた裏金の総額が5億円とも10億権とも報道されている。真実は何か、よくわからない。これが闇の政治資金なっている。何に使われたかもわからない。もちろん税金はかからない。「ふざけんな!いい加減にしろ」、テレビに向かって叫ぶ日々。おそらく有権者の大半は同じ思いだろう。テレビや新聞といったメディアは、いつものことながらこの流れに便乗してあることないこと、連日大上段に振りかぶって報道している。

メディアのモノクロチックな報道合戦にも、ほとほと愛想が尽きる。というわけでアメリカの大統領選挙に絡んだ資金集めに関心が向いたのだ。ここでは候補者が桁違いのカネを集めている。集金力が候補者の政治的力量であるかのような報道ぶりだ。日本と米国で何が違うのか。おそらく透明性だろう。米国の資金集めはガラス張りだが、日本は複雑な規制体系のもとで泥水のように不透明である。パー券疑惑の最大の問題点はここにある。党からもらう政治活動費には一切税金がかからない。有権者が政治家個人に献金することは日本では認められていない。派閥が発行する1枚2万円のパー券だと認められる。おかしくないか。まだまだある。政治資金規正法の責任者は議員事務所の会計責任者だ。政治家ではない。泥水をかき混ぜてもこれ以上濁らないというほど高水準の不透明さだ。不透明であればあるほど政治家は活き活きする。個人的には100%透明なら上限を撤廃しても構わないと思うのだが、いかがだろうか……。

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