ほぼすべてのメディアが「安倍派幹部7人不起訴」で足並みをそろえた。一部が先行し、その他大多数のメディアは後追い。例によって検察のリークかと思いきや、元朝日新聞記者でジャーナリストの佐藤章氏によると、「情報源は官邸」とか。真偽のほどはわからないし、個人的に確認しようがない。印象論としていえば「真実っぽい」気がする。佐藤氏によるとこの情報を書いていない新聞社が1社ある。検察取材1強の朝日新聞だ。なぜか?検察はまだ最終判断を下していないということのようだ。情報は官邸主導でリークされ、いつもの通り既成事実化されていく。検察内部にも起訴派と不起訴派の対立があるようだ。対立の要因は有権者のためでも、法の下での平等でも、“巨悪を許さない”ためでもない。検察にとってどっちが“得か”、要するに損得勘定なのだ。そうだろう。安倍派だけではない。権力内部が全部腐敗しているのだ。

過日、BS日テレに小沢一郎が出演し、パーティー券疑惑に揺れる政局を語る番組が放送された。小沢の主張はシンプル。権力は長期化すると「必ず腐敗する」というもの。まるで科学の方程式か物理学の法則のように、“必然”であるかのように自信を持って語るところが小沢らしい。その一点は全面的に同意。それを正すための手段はただ一つ、政権交代しかない。だから「全ての野党が協力すべき」は、まるで馬鹿の一つ覚えのように、野に降った小沢が終始一貫して主張していることだ。それが小選挙区にした最大の理由だと付け加える。これに対しするカウンターパートナーは読売新聞の元政治部長で現在編集委員をつとめる飯塚恵子氏。同氏は再三共産党を含めた野党共闘は非現実的と現実論をぶつける。小沢の反撃は、「だからあなたは間違っている」。飯塚氏の再反論は省略するが、小沢の一言は巨悪と政党同士の微細な主張の違いすらわからない主要メディアに対する批判だろう。

表向き自民党政権は長期化している。だが、長期化しているのは自民党だけではない。これに金魚のウンコのように付着している官邸、検察、財務省など政府の主要部門がほぼすべて、自民党に連動して腐敗しているのだ。本来権力をチェックすべき主要メディも付和雷同している。かくして「安倍派幹部7人不起訴」という未決定情報が正々堂々と大新聞の一面を飾ることになる。肝心の検察は木原問題をみるまでもなく、損得勘定優先の“だら幹”ばかり。起訴派とて“検察の大義”とは程遠い感じがする。不謹慎だろうか、水面下では官僚のポスト争い続いている。それも熾烈を極めているという。有権者・国民は唖然とするしかない。かくして官邸と検察、派閥がそれぞれ泥試合を続けながら、なおかつ権力にしがみつこうとする自民党的・腐敗した支配構造。それでも野党は“微細な違い”という大きな壁を乗り越えられない。 “壊し屋・小沢一郎”がいまこそ必要な気がする。

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