和田崇彦

全国コアCPI、1月+2.0% 宿泊料縮小で22年3月以来の低い伸び

[東京 27日 ロイター] – 総務省が27日に発表した1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は106.4と、前年同月比2.0%上昇した。伸び率は3カ月連続で縮小し、2022年3月以来の低い伸び率になった。宿泊料の伸び率が大きく縮小、生鮮食品を除く食料の伸び率もさらに鈍化した。一方、外国パック旅行費のデータ収集再開で指数は押し上げられた。

ロイターがまとめたコアCPIの民間予測1.8%上昇を上回った。

宿泊料は26.9%上昇で、前月の59.0%上昇を大きく下回った。23年1月に全国旅行支援の割引率縮小で宿泊料が高めに出ていた反動が出た。

生鮮食品を除く食料は5.9%上昇で、前月の伸び率6.2%を下回った。

エネルギー価格は12.1%下落し、前月の11.6%下落から下落率が拡大した。電気代は21.0%下落、都市ガス代は22.8%下落でともに前月より下落率が大きくなった。

一方、外国パック旅行費は20年1月対比で62.9%上昇。新型コロナウイルスの感染拡大で、各社が外国パック旅行の催行を取りやめる中、総務省は21年1月以降、データの収集を取りやめ、20年の値を代入していた。

生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は3.5%上昇と、前月の3.7%上昇を下回り、23年2月以来の低い伸び率。

(和田崇彦)

▽1月の消費者物価2.0%上昇 伸び1年10カ月ぶり低水準<日経web版>2024年2月27日 8:34 

総務省が27日発表した1月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が106.4となり、前年同月比で2.0%上昇した。伸びは3カ月連続で縮小した。上昇率は22年3月の0.8%以来、1年10カ月ぶりの低水準だった。

QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は1.8%の上昇だった。23年12月は2.3%上昇だった。プラスは2年5カ月連続となる。

生鮮食品を除く食料や宿泊料は伸びを縮めたものの、依然として高い上昇率が続く。外国パック旅行費もプラスに寄与した。電気代や都市ガス代、固定電話の通信料は指数を下げる方向に働いた。

生鮮食品を除く総合指数の上昇率は日銀の物価安定目標である2%と同じだった。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は3.5%上がった。生鮮食品を含む総合指数は2.2%上昇した。

総務省によると政府の電気・ガス料金の抑制策がなければ、生鮮食品を除いた総合指数の上昇率は2.6%だった。政策効果で物価の伸びを0.5ポイント程度抑えた。

品目別にみると電気代は前年同月比21.0%、都市ガス代は22.8%それぞれ下がった。政府の料金抑制策で前年同月と比べてマイナスでの推移が続く。都市ガス代の下げ幅は比較可能な1971年1月以降で最大だった。

観光需要の回復が続く宿泊料は26.9%上昇した。前年の23年1月から政府の観光振興策「全国旅行支援」の割引額が縮小し、価格が上昇していた。この反動で23年12月の59.0%プラスから伸びを縮めた。

光回線を使う「IP網」への移行で固定電話の通信料も12.0%下がった。

全体をモノとサービスに分けると、サービスは2.2%伸びた。サービスの伸びは23年7月以降、7カ月連続で2%以上で推移する。

外国パック旅行費は62.9%上昇した。新型コロナウイルス禍の影響で21年1月以降は価格の収集を一時的に取りやめていたため、総務省は「20年1月との比較になっている」と説明した。この項目を除くと生鮮食品を除く総合指数は1.9%の上昇だった。

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  • 永浜利広のアバター永浜利広第一生命経済研究所 首席エコノミストコメントメニュー
  • 今後の展望前年比で伸びが鈍化した主因は、前年1月から宿泊費が値上がりしたことで宿泊料のプラス寄与が大幅に縮小したことです。 ただそれ以外にも、固定電話通信料の低下や電気・ガス代の押し下げ寄与拡大、食料品の伸び鈍化などが寄与しています。 なお、2月分は電気・ガスの負担軽減策の影響が一巡することで伸びは再加速が予想されます。 ただ、その後は政府の物価高対策が終了するか延長するかでかく乱されますが、これまでのインフレの主因となってきた食料品価格の鈍化が進む可能性が高く、インフレ率はいずれ2%を下回ってくるでしょう。
  • 2024年2月27日 8:53いいね65
  • 白井さゆりのアバター白井さゆり慶應義塾大学総合政策学部 教授
  • ひとこと解説インフレ率の低下は予想されていた。食料上昇率が6.7%から 5.7%へ低下したことが大きい。変動が大きい生鮮食品価格上昇が減速したことと、その他の食料価格上昇率も低下を継続している。現在も食料価格がインフレの7割を占める状態は変わらない。外食も入るため消費者には打撃で実質食料支出は低迷を続けている。春先から食料物価上昇率は減速し今年末にかけてインフレ圧力を低下させるだろう。宿泊料がインフレの1割を占めているが、これも昨年末の(2022年の)補助金の裏の影響がはけたので上昇率は60%から27%へ低下した。補助金が支給されている電気料金等は補助金が撤廃されればインフレ圧力を1年間は押し上げる。
  • 2024年2月27日 8:57 (2024年2月27日 10:01更新)