[29日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は28─29日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50─1.75%に据え置くことを全会一致で決定した。 

ただ、銀行の超過準備に適用する付利(IOER)は1.60%に5ベーシスポイント(bp)引き上げた。付利金利の引き上げは予想通りだった。 

FRBはFOMC声明で、雇用の伸びは堅調で、失業率は低水準にとどまったとの見方を表明。現行の金融政策が「経済活動の持続的な拡大」を支えるために「適切だと判断する」とし、前回12月のFOMC声明の文言をほぼ踏襲した。 

声明では、中国の湖北省武漢市を発生源とする新型コロナウイルスが及ぼす経済的なリスクについて特に言及はなかったが、パウエル議長は会見で、「コロナウイルスの感染拡大は非常に深刻な問題」とし、中国や世界で混乱を引き起こす恐れがあると警戒を示した。 

市場関係者のコメントは以下の通り。 

●レポオペ巡る調整へ布石も <シュワブ金融調査センターの主任債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏> 中立的な声明という印象だ。レポオペについて、4月にかけて継続するとしか触れなかったのはやや意外だったかもしれない。確定申告の期限である4月が念頭にあると考えられるが、未来永劫続かないという警鐘とも捉えられる。 
 新型コロナウイルスの感染拡大がFRBの政策決定にどれほど影響しているのかは気になるところである。しかし、この問題はFRB自体もあまり熟知していないはずで、いかなる判断もしようがないというのが実情ではないだろうか。 

●声明で新型ウイルス言及せず、市場に安心感 <スパルタン・キャピタル証券(ニューヨーク)の首席市場エコノミスト、ピーター・カルディリョ氏> 連邦公開市場委員会(FOMC)声明に世界経済にとって問題になる可能性のある新型コロナウイルスに関する言及がなかったことは意外だった。 
 また、金利据え置きに反対票はなく、決定は全会一致だった。このことは連邦準備理事会(FRB)が当面は現行政策が維持される公算が大きいことを示している。 
 金利変更がなかったとことに加え、FRBが新型ウイルスに起因する世界経済の軟化について言及しなかったという事実が市場に安心感をもたらす可能性がある。 

●レポ継続で市場に高揚感も <インベスコの首席グローバル市場ストラテジスト、クリスティーナ・フーパー氏> 前回会合の声明からほぼ変わらない内容だった。 前回と異なる点は、家計支出について「緩やかなペース」で増加したとし、前回の「力強いペース」から変更したことだ。米経済のけん引役が消費者であることを踏まえ、注視していきたい。 
 それ以上に注目に値するのは、レポを少なくとも4月まで継続するという表明だ。バランスシート拡大に寄与することになり、FRBは意図せずとも、量的緩和(QE)実施時の環境と似通った状況を生み出すだろう。決して悪いことではないが、市場の高揚感につながる可能性があることを認識する必要はある。 

●今年は様子見、金利変更のハードル高い <フィエラ・キャピタル(モントリール)のグローバル資産分配部門ポートフォリオマネジャー、キャンディス・バングスンド氏> 連邦公開市場委員会(FOMC)声明には何も予想外のことはなかった。連邦準備理事会(FRB)は2020年を通して様子見姿勢を崩さないとの見方を変えていない。 
 通商問題を巡る緊張は緩和し、英国の欧州連合(EU)離脱が無秩序なものになる可能性も低下した。FRBが19年にハト派にシフトした主な要因はおおむね後退した。また、政策担当者はインフレ率が何年にもわたり目標を下回ってきた状況を埋め合わせるために、インフレ率が目標を上回ることを容認する姿勢を示している。 
 総合すると、利上げ、利下げの双方のハードルは現時点ではともに高いと考えている。