第二次補正予算の審議がきょうから国会で始まる。事業規模が総額で117兆円を超える史上空前の補正予算だ。雇用調整助成金、中小企業を主な対象とした資金繰り支援策、家賃支援給付金など前例のない巨額な補助金が計上されている。新型コロナウイルスの影響で経済基盤が崩壊寸前の危機にある。この危機を乗り越えるために予算規模が巨大化するのはある意味当然だと思う。だが、問題はそれを執行する体制に様々な疑念がつきまとっていることだ。第1次補正(事業規模117兆円)に盛り込まれた特別定額給付金(10万円給付)は、いまだに給付されていない世帯が圧倒的に多い。消費喚起の目玉だった「GoToキャンペーン」は、業務委託先の公募が一旦中止された。実施はさらに遅れるだろう。

疑念を生んでいるのは委託費が適正なのか、委託先が公平に募集されているのかと言った点だ。第1次補正予算に盛り込まれた持続化給付金は総事業費が2兆3000億円。これの執行を民間に委託するのだが、その委託先が「サービスデザイン推進協議会」という一般社団法人。ネットで検索してこの協議会の実態は良くわからない。経産相はこの団体に委託料769億円を払って事務処理を丸投げしている。同協議会は20億円の手数料を抜いて749億円で電通にすべての事業を再委託。電通はこれを子会社何度5社に再々委託している。協議会が抜いた20億円の使途について梶山経産大臣は大半が「金融機関に支払う振込手数料」と答弁している。それにしても右から左につなぐだけで数億円の収入が得られる。誰が見ても首を傾げたくなる。

巨額予算の裏には委託事業の隠された構造があるような気がする。Gotoキャンペーンの総事業費は1兆7000億円弱。事務委託費として3095億円が予算に計上されている。事業規模が大きくなれば委託費も巨額になる。そしてそこは極めて不透明な世界でもある。コロナ禍で中小企業や自営業者に限らず多くの国民が破産、倒産、廃業の寸前に追い込まれている。こうした人たちにとっては、たとえ1円でも国の補助金は貴重な存在だ。野党もメディアも事務委託費が本当に適正なのか、この際徹底的に検証すべきだと思う。過去の事例に照らすと委託費は「事業費の2割程度」(赤羽国交大臣)だそうだ。だがこの答弁は、適正であるか否かの答えにはなっていない。