今朝ニュースを見ながら、世界を覆っている対立と対決に思いをめぐらせてみた。きっかけは英国とE Uの間に再び対決の機運が広がってきたとのニュース。ジョンソン英首相がE Uとの貿易交渉の期限を10月15日と区切ったことがきっかけ。E U側は「英国が離脱合意の修正を試みれば、通商協定はそもそも実現しない」と強く警告した。詳しいことは省くが英国とE Uの間にはあいかわらず刺々しい対立が残っている。これに触発されてニュースを見ると、世界中が対立と対決であふれている。地球はザラザラとした肌触りの居心地の悪い世界なのだ。まずは米国。トランプ氏とバイデン氏の対決は、大統領選挙を控えて当然だとしても、対立の原因がワクチンの是非にまで及ぶと、もはや選挙のための対決とはいえい。10月中のワクチン実用化を示唆したトランプ氏に対してバイデン氏は、自分が摂取を受けるかどうか「科学者の見解を聞きたい」と反論した。

これにトランプ大統領が、「(科学の冒涜)直ちに謝罪すべきだ」と噛み付く。この程度なら大統領選を意識した言葉のやり取り。たいして実害はないが、ロシアの反体制指導者ナワリヌイ氏をめぐるドイツとロシアのやり取りは、もう一段深刻の度を増した。ドイツのメルケル首相は昨日「ロシア政府の対応次第で、同国とのガスパイプライン事業『ノルドストリーム2』を再検討する」との方針を明らかにした。もともとはマース外相が打ち出していたもの。同首相は当初、この問題とナワリヌイ氏の問題は切り離して考えるとしていたが、ここにきてマース外相に同調した形になっている。ロシアに対する圧力の一環だと思うが、パイプライン計画が交渉の駆け引きに利用されようとしている。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」をめぐる問題は複雑怪奇の様相を強めている。当初はトランプ政権と運営会社のバイトダンスの問題だったが、中国政府がこれに介入米中対立の核心的な問題になろうとしている。

トランプ大統領は米国で展開されているティックトックの事業を、米企業に買収させることによってケリをつけようとした。この方針に沿って多くの企業が動き出していた。そこに中国政府が介入、政府の了承をえない限り事業の売却を認可しないと言い出したのである。ロイターによると創業者の張一鳴氏(38)はもともと政治からの独立性を追求する起業家。どちらかと言えば米国流の自由を好むタイプのようだ。中国には電子商取引・アリババの共同創業者、馬雲(ジャック・マー)氏や、ネット大手・騰訊控股(テンセント)創業者の馬化騰(ポニー・マー)氏のように、中国政府との関係が緊密な経営者がいっぱいいる。これに対して張氏は、誤解を恐れずに言えば米国寄りだ。米中対立は経営者個人の人間性をなぎ倒すようにして深刻の度を増している。個人の思想、心情、主義、主張などお構いなしだ。ベラルーシ、香港、台湾、中国のウイグル、モンゴル自治区、世界中に不条理という暗雲が立ち込めている。