東京五輪サッカー、準決勝スペイン戦。勝てばメダル確定の大勝負。ひょっとして勝てるのでは、そんな期待感を抱かせる日本チームだ。準々決勝のニュージーランド戦は予想外に手こずった。スペインの方が戦いやすいのではないか、気まぐれサッカーファンの楽観論が膨らんでいた。延長を含めて120分、そんな楽観論は全く通用しなかった。パスサッカーのスペインは強かった。ボールポゼッションは圧倒的にスペイン。日本はよく守った。攻撃陣もほとんど守備にエネルギーを費やした。日本にも3、4回はチャンスはった。だが、それも少なすぎた。チームは最初から最後までよく闘ったと思う。そこはものすごく評価する。だが、金メダルを目指したサッカーではなかった。勝ちを意識しすぎたのだろう。攻撃のためのリスクが取れなかった。正直にいえば見ていて面白くなかった。

今朝起きて専門家の意見を探してみた。あの辛口評論家、セルジオ越後氏のコメントが日刊スポーツ(Web版)に掲載されていた。「よく守った。よく粘った。よく走った。スペインに0-1で負けて、こんな褒め言葉が並ぶのかな。こういう褒め言葉を言うようじゃ、日本はいつまでも世界には勝てないよ。日本は勝負に負けたんだ。しかも攻撃らしい攻撃は、ほとんど仕掛けられず、完敗した。恥ずかしいと思わないとな。まずは地力の差を痛感して深く反省しないと、何にも始まらないよ」。いつもはセルジオ氏の辛口コメントを苦々しく思っていた。「もっと思いやりがあってもいいんじゃないか」、気まぐれファンとして選手を擁護したつもりだった。だが、どういうわけだろうか、今朝はセルジオ氏の言葉がやけにすんなり腑に落ちる。「本当に強い相手と対戦する時、日本は守り倒すプランしか立てられないのが現状だね」。

まだ続く。「みんな大好きな攻撃を我慢して、大人数で守って、サイドも上がらず、ゴール前を集中して守る。あとは相手のミスとGKの好セーブ頼みか。逆襲のアイデアもなく、ボールを奪って顔を上げても、前線には味方がいない。悲しいと思わないと」。守備でボールを奪ってもロングボールを相手陣営に蹴り込むだけ。すぐにボールはスペインに奪い返される。いやはや、森保監督が可哀想になってくる。でもこれがこの試合と日本チームの現実なのだろう。セルジオ氏の辛辣な批判の意味がわかったような気がした。この人は本当に日本を強くしたいのだ。勝って欲しかった。でもそれ以上に速いパス回しから連続攻撃を仕掛けるスリリングな場面をもっとみたかった。メダルなんてどうでもいいとは言わないが、もっとファンが納得できる試合をして欲しい。次はこちらも格上のメキシコだ。