サマーズ元米財務長官は今後数年にわたって鈍い成長と低い実質金利が続くと世界の金融市場が予測しているようだとし、そうした環境は中央銀行の景気誘導能力を奪うとの考えを示した。
サマーズ氏は10日、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)での講義で、「市場が織り込んでいるとみられるのは、長期的なスタグネーション(停滞)への逆戻り、つまり日本化だ」と述べた。
同氏は2013年以降、先進国の主要な問題の一つは過剰貯蓄と投資不足だとの見方を示しており、今回の発言もそれに基づくものだ。
その結果として、政策当局者が今後数年に利上げをする能力は限定され、景気の安定化に向けた責務の大部分を各国政府が担うことになるとサマーズ氏は主張。米ハーバード大学の名誉教授でもあるサマーズ氏は、低い借り入れコストは新たな金融危機のリスクを高めるとも警告した。
ブルームバーグへの寄稿者でもある同氏は、「極端に低い金利はレバレッジ拡大やゾンビ企業の延命化、金融バブル永続化への土台を作る」と説明。「投機的なリスクの兆候が多く見られる。極端に低い金利やマイナス実質金利には問題がある」と話した。
原題:Summers Says Markets Braced for Stagnation and ‘Japanization’(抜粋)