G20の財務相・中央銀行総裁会議が20日、ワシントンで開催された。対面形式だがオンライン参加も可能だ。ロシアのシルアノフ財務相はオンラインの参加だったが、同氏が話を始めるとイエレン米財務長官はじめ複数の国の参加者が席を立ったと伝えられている。会議自体は非公開で詳しい様子は伝わっていないが、ロシアをめぐる出欠問題で会議自体が分裂の様相を強めたようだ。ロシアのウクライナ侵略に伴い世界経済にも悪影響が出始めている。その原因をめぐって米国をはじめ西側諸国は「ロシアの責任」を厳しく追求する。これに対して中国やロシア、新興国は米欧日などの経済制裁に原因を求め、「主張は真っ向から対立した」(時事ドットコム)という。G20の出欠問題はそのまま、先進国対新興国の対決の構図だ。ロシアとの同席は是か非か。これが一つの“大きな問題”のように見えてきた。

ロシア排除はいたるところで進んでいる。ロイターによると、テニスの四大大会の一つ、ウィンブルドン選手権を主催するオールイングランド・クラブ(AELTC)は20日、今年の大会からロシアとベラルーシの選手を除外すると発表した。これもウクライナ侵略に対する抗議だ。これに対して男子テニスツアーを統括するATPと女子テニス協会(WTA)は決定を批判したという。北京での冬季パラリンピックでは、すったもんだの末に、ロシア選手の参加が拒否された。サッカー界はすでにロシア排除を決めている。スポーツ界は総じてロシア排除の意向が強いようだ。音楽界にもこうした動きが広がっている。朝日デジタルによると、「国際音楽コンクール世界連盟」(本部はスイス・ジュネーブ)が、世界3大音楽コンクールの一つ、チャイコフスキー国際コンクールを除名した。

ウクライナ侵略は、個人的には、プーチンが独善的・強権的に進めていると思っている。侵略の責任はプーチン並びにプーチン政権や政治家、その支持者にあるのであってロシア国民にはない。プーチンとロシアの一般国民は分けて考えたほうがいいと思っている。スポーツ選手も音楽家も、考え方としては国民側に属していると見ていいだろう。だが現実には何の罪もないスポーツ選手や音楽家がすでに排除の対象になっている。G20は政治家並びにその関係者の集まりである。本来ならここでこそ徹底的にロシアを排除すべきだと思う。だが現実には、ロシア排除を受け入れない国々が数多く存在している。その筆頭が中国だ。“正義”はあちら側にもあるのだろう。G20の出欠問題がそれを象徴している。出席すべきか、欠席すばきか、はて、どうするか。こうしている間にも無辜のウクライナ国民が虐殺されている。問題はそこだ。