[東京 12日 ロイター] – 日銀が12日発表した「生活意識に関するアンケート調査」(第93回<2023年3月調査>)によると、1年後の物価が「上がる」と予想する回答者の割合は85.7%となり、前回2022年12月調査の85.0%から増加した。原材料高の価格転嫁が広範囲に及ぶ中、物価上昇を予想する人の割合が増えている。

1年後の物価予想では平均値が11.1%上昇、中央値が10.0%上昇。平均値は12月の9.7%上昇を上回って2006年9月以降で最高。中央値は過去最高となった前回から変わらず。

5年後に「上がる」との予想は12月調査の76.7%から75.4%に減少。減少は4四半期連続。毎年の変化率予想は平均値が8.1%上昇、中央値が5.0%上昇だった。平均値は過去最高、中央値は過去最高となった前回から変わらず。

日銀は2%の物価安定目標の実現には家計や企業のインフレ期待の高まりが重要と位置付けており、同アンケートは家計のインフレ期待の動向を把握する指標のひとつとなっている。調査期間は2月3日から3月1日。

<足元の物価観、テレビ報道が影響>

足元の物価に対する実感では、1年前対比で「上がった」との回答が94.5%で2008年9月以来の高水準となった。このうち「かなり上がった」は62.8%で過去最高。

政府の物価抑制策の影響で、全国消費者物価指数は2月分から前年同月比の伸び率が大きく縮小したが、日銀の担当者は2月の値上げに関するテレビ報道の影響が大きかったとの見方を示した。

現在の暮らし向きについて「ゆとりがなくなってきた」は56.0%となり、6四半期連続で悪化した。比率としては10年3月以来の高水準。「物価が上がったから」との回答が90.4%に上り、3四半期連続で過去最高となった。

(和田崇彦)