ゴールデンウィークに原稿書きながら、内心では時代の流れに取り残されている感が燻っている。でも他にやることもないし仕方がないと、自分に言い聞かせながらニュースを読んでいる。そんな時類は友を呼ぶのか、私より時代に取り残されている政党があることに気がついた。立憲民主党だ。懸案となっていた入国管理法の改選案を審議している衆院法務委員会で現場が、自民党の譲歩を引き出す修正案をまとめながら、立憲民主党執行部がこれを否定。結局改正案はほぼ自民党の原案通り委員会で可決した。現場の努力を無視して党の主張に拘泥した執行部。なんとなく時代に取り残されているような気がするのだ。世界中で難民問題が大きな課題になっている。5月14日に投開票されるトルコの大統領選挙では、シリア難民の受け入れが大きな焦点になっている。立民にはこれまでに積み重ねてきた主張があるのだと思う。だが、一歩でも半歩でも前進させたいとする現場の努力を無視して、法案に反対する執行部も時代に取り残されているのではないだろうか。

日本の外国人に対する出入国管理にいろいろな問題があることは、日々のニュースを読みながら薄々感じていた。2021年3月には名古屋の出入国在留管理局でスリランカ人ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が死亡するという事件が発生した。この時も入国管理法の改正案が審議されていたが、毎日新聞(Web版)によると「原因究明を巡って国会審議が空転、(改正案が)廃案になった経緯がる」。そして、「政府は旧改正案の骨格を維持した改正案を今国会に提出した」。この問題に真剣に取り組んできた立憲民主党ほか、それぞれの政党にはそれぞれの思惑や意見、主張があるのだろう。それでも圧倒的多数を誇る与党は、旧改正案に近いものを国会に提出し成立を目指していた。これがこの改選案をめぐりこれまでの経緯だ。その改正案の修正に立民の現場は挑んだ。4月21日に始まった自民、公明、立憲、維新の修正協議で立民は渋る自民から「(難民認定に関する)第三者機関の設置検討」という譲歩案を引き出した。

この修正は付則に明記するだけのものだが、それでも法務委員会の意思として法律に残る。記録に残れば次年度以降いつでも立民は与党を追及できる。附則に明記する意味は大きいと思う。にもかかわらず執行部はこの修正案を拒否した。理由はよくわからない。元々党内には賛否両論があって、執行部は党内多数派である左派に配慮したとの解説がある。仮にそうなら党内事情優先で、入国管理の適正化とは異質な判断ということになる。立憲が拒否したことを受けて自民党は修正案そのものを撤回した。この件について弁護士の菅野志桜里さんは次のようにツイートした。「意義ある修正より支持者の繋ぎ止めを選んで反対する立憲も立憲だけど、反対するならと譲歩を撤回する自民もいかがなものか」。国会には「時間軸効果」という認識がまたくない。このニュースを読みながらつくづく思った。日本の国会は政党が存在しなければ、正常に機能する。