[香港 23日 ロイター] – この数カ月、中国経済の減速を確認する経済指標が相次いでいる。当局は利下げなど、景気支援に向けた対策を打っているものの、市場には「小粒」と映る。投資家は、回復ラリーに賭けるのは、大規模な景気刺激策が打ち出されてから、というスタンスだ。 

一時、長期上昇相場入りが期待された中国株も景気減速に伴い失速した。今も投資する世界の運用担当者の間では「我慢」「警戒」「刺激」が先行き見通しの合言葉になっている。

BofA証券の世界の機関投資家を対象とする調査で6月は、中国株のショートが、ハイテク株のロングに次いで2番目に活発な取引だった。

モルガン・スタンレーによると、6月は短期筋のヘッジファンドが主要な買い手となっており、回復のもろさを浮き彫りにする。

中国本土の優良株は年初から0.2%下落。2021年初頭に付けた最高値からは約34%下落している。香港株式市場のハンセン指数は1月から15%下落。1月の急騰後、海外からの資金流入はほぼ止まっている。

人民元も7カ月ぶり安値を付けた。中国人民銀行(中央銀行)の利下げが予想を下回り、当局の景気浮揚への「本気度」に疑問符が付いたためだ。

強気派は、一段の支援措置が打ち出され、それが傷ついた心理を修復するという期待を持ち続ける。

ピクテ・ウェルス・マネジメントのアジア・マクロ経済調査責任者ドン・チェン氏は、最近の貸出基準金利などの引き下げはそれ自体、大した効果はないとするものの、「重要なのは政策シグナルだ。政策措置がさらに出てくれば、非常に慎重なセンチメントを好転させられるだろう」と述べた。

割安感を受けた反発を期待する向きもいる。

チャイナ・ルネッサンスの株式部長、アンディ・メイナード氏は、「これ以上、悪いニュースが続くとは思えない。市場はすでにネガティブ要因を全て織り込んでいるようだ」と述べ、年末に向け押し目買いなどが入ると予想する。

公式データによると、海外勢は今月、中国株を230億元(30億ドル)と小幅に買い越している。年初来では1900億元の買い越しだが、その大半は1月に積み上げたものだ。

<信頼回復が鍵>

消費や生産、不動産市場に関する経済指標が予想を下回り続け、大手金融機関は相次ぎ今年の成長率予想を下方修正した。信頼回復は長期戦の様相を呈している。

比較的ポジティブなアナリストは、悲観的見方が株価を異常に低位にしていると指摘する。

モルガン・スタンレーによると、MSCI中国指数は、12カ月予想株価収益率(PER)が9.3倍と魅力的な水準にある。

「緩和が一段と進み、マクロ経済の回復が拡大し、地政学が安定すれば、中国株は(下半期に)再びアウトパフォームする」とモルガン・スタンレーのアナリストは指摘した。

ただ楽観論は失望リスクもはらむ。

M&Gインベストメンツのアジア太平洋債券部門責任者、グアン・イー・ロー氏は「投資家が求めているのは、金融政策対応だけではないと考える。アニマル・スピリット、投資家の信頼、市場の信用を回復させるために、もう少し決定的な何かを、われわれは求めている」と語った。

(Summer Zhen記者)