新聞・テレビの主要メディア(オールド・メディア)のニュースの扱い方がいつも気になっている。誤解を恐れずに単純化すれば国防に関する重要な問題は小さく扱い、個人や企業に関わる不祥事は必要以上に大きく扱う。これが日本の主流派でありいまやオールド・メディアと称されているメディアの特徴だ。今朝ネットでニュースを見ながら気になったニュースが3つある。1つは中国原発から大量のトリチウムが放出されているという記事、2つ目はワシントンポスト(WP)が掲載した日本の防衛機密情報に中国軍のハッカーがアクセスしているという記事、そして3つ目が日大アメフト部に絡んだ大麻不の祥事だ。最初のトリチウムに関しては中国が、東電の処理水海洋放出に関連して日本の農水産物に輸入制限を加えている。オールド・メディアは輸入制限は大きく報道するが、中国が東電の「最大10倍相当」のトリチウムを海洋放出しているという事実には目をつぶっている。

2つ目のハッカーについてはいくつかのメディアがWP電を転電している。だが、扱いはいずれも小さい。アメフト部員の大麻疑惑に関連してきのう、日大の最高幹部が記者会見を行ったが、こちらの扱いに比べると月とスッポンほどの差がある。扱いが小さいということは、ニュース価値小さいことを意味する。オールド・メディアは自衛隊の機密情報が盗まれることよりも、日大のアメフト部員による大麻疑惑のニュース価値の方が大きいと判断しているということだ。時事通信によるとWPは「中国人民解放軍のハッカーが日本の防衛省の最も機密性の高い情報を扱うコンピューターシステムに侵入していた」と報じた。この記事はハッカーの事実だけを報じているわけではない。「2020年秋に米国家安全保障局(NSA)が察知し、日本政府に伝達した。しかし、日本のサイバー対策は依然として十分ではなく、日米間の情報共有の支障となる可能性が残っている」と指摘しているのだ。

台湾有事や北朝鮮の挑発をめぐって日米韓が情報共有を強化していると、メディアは盛んに強調する。防衛省の意向を汲んだ記事だろう。こうした中でワシントンポストの記事は相変わらず軽視する。当局に忖度してのことだろうか。これではメディアとして機能しないだろう。そんな中で麻生副総理が台湾を訪問、台湾問題で抑止力を強化する必要があると強調した。抑止力強化とは何か?麻生氏は「保有するのみでなく、いざとなったときに使う国民的合意があることを相手に知らせることだ」(ロイター)と強調した。要するに「使う覚悟をしろ」といっているのだ。この発言をオールド・メディアはストレートに国民に伝えようとしただろうか。麻生氏にしては珍しい正論だ。これに反応しない日本メディア。木原官房副長官にまつわる疑惑は徹底して無視するオールド・メディア(一部を除く)。日々ニュースのようなものが大量に配信されるが、その中に真実はほとんどない気がする。