2日に実施された国民民主党の代表選挙は、現代表の玉木氏が副代表の前原氏を大差で破って再戦を果たした。ポイント制で実施された今回の選挙、結果は玉木氏が80ポイントを獲得、前原氏は31ポイントにとどまった。小さな政党の代表選挙だが、選挙後には自民党内で国民民主との連立構想が浮上するなど、与野党を巻き込んだ政局の芽も生み出した。自民党・岸田政権の支持率低迷が背景にあるのだろうが、どうやら国民民主を挟んでさまざまな勢力が水面下で蠢いている気配がする。早ければ来週にも内閣改造があるとの説がある。自民党内の主導権争い、自公の関係悪化、解散総選挙の思惑、国民民主という小さな政党を巻き込んだ政局の小さな“ゆらぎ”かもしれない。自民党という大きな政党が、国会議員がたたった21人の小さな政党を巻き込んで揺さぶる“政局”、それ自体が自民党という政党の限界を示しているような気がする。

国民民主の代表選挙は「対決より解決」「政策本意」を掲げる玉木氏と、「非自民・非共産の野党連立政権樹立」を主張する前原氏の戦いだった。大差の結果が分裂を繰り返す野党への批判にもなっている。前原氏の主張を聞きながら、「非自民・非共産」の政権構想を唱えた小沢一郎氏を思い起こした。分裂を繰り返す野党陣営の現状を見る限り前原氏の主張に合理性はなく、非現実的な気がした。結果がそれを証明したことになるが、これをみて今度は自民党内で国民民主との連立構想が浮上した。おそらく選挙前から国民民主側と水面下で調整があったのだろう。自民党内で鬱積する公明党への不信感を意識した動きだろう。連立構想は公明党に対する一種の“脅し”だったのではないか。きのう自公両党はあたふたと党首会談を実施、来たるべき総選挙での選挙協力再開で合意した。新たな連立構想には党内の反岸田勢力が絡んでいるのかもしれない。公明党だけではない。岸田政権も党内から見放されつつあるようだ。

秘書官をつとめていた長男の公邸忘年会騒動、マイナーカード問題に松川るい女性局長の辞任、森まさこ参院議員にはブライダル補助金問題が浮上している。そこに週刊文春が報じた“木原問題”、東電処理水問題では中国の意味のない対日批判が連日続いている。内閣支持率に回復の気配はまったくない。内閣改造にも解散総選挙にも、政権浮揚の要素がみえない。自民党も岸田政権も藁をもつかみたい思いだろう。国民民主との連立構想はその藁だったのではないか。ぶち上げた途端、自公の選挙協力再開が実現した。自民党内の公明批判には現連立解消の勢いがあった。それを察知したのだろう。現状維持でようやく両党の手打ちが実現した。物価上昇が続く中で国民生活そっちのけの小さな政局が軋みをあげている。そんな中で玉木氏が連立に加わるとしたら、国民民主党もいずれ消えてなくなるだろう。言っても無駄だろうが、政治家にはもっと大きなテーマでの政局を期待したい。