記者会見する川勝知事(3日、県庁で)=木田諒一朗撮影

 静岡県の川勝知事が辞職を表明して一夜明けた3日、県内の市長や県民からは、改めて知事の発言について「不適切だ」との指摘や、任期途中の辞職に「無責任だ」などの批判の声が広がった。県には同日午後5時までにホームページや電話、メールなどを通じ計約1800件の意見が寄せられ、ほとんどが「すぐに辞職すべきだ」など批判的なものだったという。

記者会見する川勝知事(3日、県庁で)=木田諒一朗撮影

 副知事として長年、知事を支えた静岡市の難波喬司市長は報道陣の取材に、知事の発言について「極めて不適切であり得ないレベルの発言だ」と指摘。知事が「報道の切り取りだ」と発言したことについては「発言全文を聞くと切り取りも何もない」とし、「発言を適切でないと思わないこと自体にも大きな問題がある」と苦言を呈した。リニア問題についても「影響は極めて大きい」と述べた。

 浜松市の中野祐介市長は取材に「また失言があったら職を辞すると言っていたので、それを実行されたのかな」と推し量る。そのうえで「静岡県の顔として長く職責を果たされてきたが、いい方向ばかりでなく悪い方もあった」と指摘。リニア問題を例に「静岡県が建設工事にストップをかけていると、とられてしまっている」と話した。

 リニア整備で懸念される大井川の水資源などについて、流域自治体の島田市の染谷絹代市長は「大きな分岐点。本筋から外れた課題で県はいろいろとにぎわせてきたが、本来あるべき議論に戻るきっかけになればありがたい」と話した。

 県民からも厳しい声が聞かれた。

 富士宮市の酪農業の男性は「川勝知事の発言は職業差別。誰かのために仕事をしているのは公務員だって我々だって同じ。辞めたきゃ辞めればいい」と批判した。静岡市清水区のパート従業員の女性(68)は「ここまで問題発言が続くと任期途中で辞職するのは仕方ない。今回の発言について知事は切り取りと言い訳するが、そうは思えない。見下していて本当に県民のことを考えているのだろうか」と話した。