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1千のアカウントが突然…米大統領選、ロシア介入の実態<朝日新聞デジタル>2018年2月18日07時13分

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 2016年の米大統領選で、ロシアによる介入の実態が見えてきた。マラー米特別検察官は16日、ロシア国籍の13人と関連企業3社を初めて起訴。フェイク(偽)ニュースの「温床」になったとして批判の矢面に立つフェイスブック(FB)社やツイッター社は、負のイメージを払拭(ふっしょく)しようと必死だ。

「米大統領選の少し前から、ほとんど使われていなかった約1千のツイッターのアカウントが、突然動き始めた」。ロシアによる選挙戦への介入を調べてきたジョージワシントン大大学院のマシュー・ハインドマン准教授(インターネット政治学)はそう話す。

突如動き始めたアカウントは、長年使われずに放置されていた個人のものが多い。13年に米ヤフーから大規模な個人情報の漏洩(ろうえい)が起きた際に流出したアカウントもあったとみられる。「新しいアカウントを急に大量に作れば怪しまれる。使われていない個人の古いアカウントを乗っ取るなど、時間をかけて仕込んだことがうかがわれる」

ハインドマン准教授は、「ロシア側は特定のメッセージを送ったり、一つの問題に焦点を当てたりするより、世論の関心や争点をずらすことにたけていた」と指摘する。フェイクニュースを流すことで、それまで争点になっていなかった問題が急に有権者の関心事となったという。

米調査会社によると、米国人の大人の67%がソーシャルメディアから何らかのニュースを得ている。「テレビや新聞を見なくなった米国人が、本当に何が起きているのか知らぬまま、ネットの情報をうのみにしてしまった結果だった」とハインドマン准教授はみる。

ログイン前の続き一方、ロシアがどれだけソーシャルメディアにフェイクニュースを流し、実際にどれだけ選挙戦に影響したのかは、いまも全容はつかめていない。

「FB上のフェイクニュースが選挙に影響したなんて、クレージーな発想だ」。米大統領選直後、FB社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)はそう発言した。しかしその後、ロシア関連の偽の広告やフェイクニュースが次々と見つかり、昨年9月にはこの発言を「悔いている」と撤回。当初、同社はロシア関係の広告を見た人は約1千万人と発表したが、米議会から「過小評価している」と追及を受け、約1億2600万人が見ていた可能性があると修正した。

また、470のロシア関係とみられる不審なアカウントから約3千の広告が出されていたとして、これらのアカウントを削除。フェイクニュースや偽の広告などのチェック体制を、18年に2万人に倍増するとも表明した。

ロシア関連のアカウントの中で中心的な役割を果たしたとみられるのが、今回起訴された「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」だ。

ツイッター社は今年1月、IRA関連のツイートの実例を写真入りで示し、約3800のIRA関連のアカウントを閉鎖したと発表。IRA関連のツイートをリツイート(転載)したり、引用したりした約140万人の利用者に、ロシアのプロパガンダである可能性が高いことなどを通知した。

FB社やツイッター社は、売り上げのほとんどを広告収入に頼っている。「フェイクニュースの温床」というイメージが広がれば、広告主や利用者離れが起きるのは必至で、早急に対応を迫られている。(サンフランシスコ=宮地ゆう

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