アメリカのトランプ大統領が、鉄鋼製品などに高い関税を課す意向を表明したことを受けて、EU=ヨーロッパ連合は、この措置が発動されればアメリカから域内に輸入される鉄鋼製品や工業製品などに対して報復関税を課すと正式に発表しました。トランプ大統領は、鉄鋼やアルミニウムが不当に安く輸入されているとして、鉄鋼製品に25%の関税を課すなどとした異例の輸入制限措置を発動する意向を表明しています。
これを受けてEUで通商政策を担当するマルムストローム委員は7日に記者会見し、アメリカが輸入制限措置を発動した場合、EUとして対抗措置を取ることを正式に発表しました。それによりますと、EUとしてWTO=世界貿易機関に提訴することやアメリカからの輸入品に報復関税を課すことを検討しているということです。報復関税の対象は、鉄鋼製品や工業製品、それに農産品の3つの分野で、現在対象品目のリストを作成していて、近く公表するということです。
記者会見でマルムストローム委員は、「保護主義は解決にならない」と述べたうえで、「米欧関係やルールに基づく世界の貿易システムを損なうものだ」として、アメリカに再考を求めました。またEUのトゥスク大統領は、今月22日に始まるEUの首脳会議でこの問題を取り上げ、各国の首脳と協議する考えを示しました。