[ガザ/エルサレム 14日 ロイター] – 米国が在イスラエル大使館をエルサレム移転・開設した14日、パレスチナ自治区ガザの境界付近で抗議活動を行ったパレスチナ人に対しイスラエル軍が発砲し、少なくとも55人が死亡、2700人余りが負傷した。1日の死傷者数としては2014年以のガザ戦争以来最悪となっている。
死者55人には18歳未満の未成年が少なくとも6人含まれており、負傷者のうち1360人は銃撃によるもの。惨劇についてトルコは「虐殺」と非難。フランス、英国などは自制を呼び掛けている。
ただ米国はイスラエルに対し自制を要請することは控え、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスに責任があるとして非難。米ホワイトハウスのシャー報道官は記者会見で「これらの悲劇的な死者を出した事件の責任は完全にハマスにある。ハマスは意図的にこうした対応を挑発した」とし、イスラエル軍による対応を自衛行為としたイスラエルのネタニヤフ首相を擁護する姿勢を示した。
イスラエル軍は声明で「抗議活動に参加していた人々が防護柵とイスラエル軍に向け火炎瓶や爆発物を投げつけた」とし、「標準的な対応手順」に従ったとの見解を表明。ネタニヤフ首相はツイッターで「すべての国には自国の境界を防衛する義務がある」とし、「われわれは自国の主権と国民を守るために断固として対応し続ける」とした。
ハマス側は暴力行為を触発していないと反論。パレスチナ自治政府のアッバス議長は、米国が「東エルサレムに移住基地を築いた」とし、この日の惨劇を「虐殺」と非難。15日にゼネストを行うと宣言した。
パレスチナ自治政府のハムダラ首相は声明で、米国は「国際法に明白に違反している」として非難。「パレスチナの歴史における悲劇の日を(エルサレムに大使館を開設する日に)選ぶことは、和平プロセスの中核的な原則に対する著しい無神経さ、軽視を示している」とした。
15日は1948年のイスラエル建国時に大勢のパレスチナ人が難民となった「ナクバ」を悼む日に当たり、同日も抗議活動は継続される。