-
貿易戦争に踏み切らない意向を両国が表明した-中国の劉鶴副首相
-
中国による購入増の具体額、共同声明に盛り込まれず
米国と中国はワシントンで行った通商摩擦緩和のための協議を終え、中国が米製品の「購入を大幅に増やすこと」で合意したとする共同声明を19日発表した。協議に参加した中国の劉鶴副首相は、米中間の貿易戦争は回避されたと述べた。
ホワイトハウス発表の共同声明には、中国による購入増の具体額は盛り込まれていない。また、中国当局が年間の対米貿易黒字を「少なくとも2000億ドル(約22兆2000億円)」削減することを提案したというクドロー米国家経済会議(NEC)委員長の発言にも言及していない。
中国国営の新華社通信によると、劉副首相は貿易戦争に踏み切らない意向を両国が表明して協議が終了したと、ワシントンで記者団に語った。同副首相は習近平国家主席の特使として協議に参加。米国側の出席者はムニューシン財務長官やロス商務長官、ライトハイザー通商代表部(USTR)代表らだった。
新華社によれば、劉副首相は米中双方が相手国に「関税を賦課する」のをやめることで合意したと説明。自身の訪問を「前向きで実際的、建設的、生産的」だったと振り返った。
劉氏はまた、両国の協力はエネルギーや農業、ヘルスケア、ハイテク製品、金融などの分野で強化されることになるとして、双方にとってウィン・ウィンの選択だと述べた。声明によれば、中国は「米国が農産物とエネルギーの輸出を大幅に増やす」ことに同意。詳細は今後詰めるとしている。
AMPキャピタル・インベスターズの投資戦略責任者、シェーン・オリバー氏(シドニー在勤)は、細目を詰めるためにやるべきことはまだ多く残っているが、貿易戦争が回避されるという発表を受けて21日の世界の相場は上昇するとの見通しを示した。
米中両国はこのほか、知的財産権問題に関する協力強化で合意し、ホワイトハウスによると、中国は特許法を含めてこの分野の法律や規制を改正する意向を示した。戦略的産業の育成を目的とした「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」計画への政府支援の中止といった米国の要求や、米国が制裁を科した中国通信機器メーカー、中興通訊(ZTE)については声明の中で触れられていない。
原題:China Pledges ‘Significantly’ More U.S. Buying, No Trade War (3)(抜粋)