アメリカのトランプ政権は、イランに対する経済制裁を再開することを受けて、日本を含む各国にイラン産原油の輸入をことし11月までに完全に停止するよう求めていることを明らかにしました。

アメリカのトランプ政権は先月、イラン核合意から離脱したうえで、ことし8月以降、経済制裁を順次再開すると表明し、国際社会に対してもイランへの圧力強化に加わるよう求めています。

こうした中、アメリカ国務省の高官は26日、記者団に対して、アメリカ政府がことし11月4日までにイラン産原油の輸入を完全に停止するよう各国に求めていると明らかにしました。

この中には日本も含まれ、国務省の高官は「われわれは政策転換を求めており、日本にとってもチャレンジだ」と述べて、日本の立場に一定の理解を示しつつも「日本側はわれわれとの関係上、応じると思う」と述べて、アメリカの求めに応じるよう迫りました。

アメリカ政府は、イランから原油を輸入しているEU=ヨーロッパ連合や中国、それにインドやトルコにも輸入の完全停止を求めるとしています。

日本はイランから全体の5%余りの原油を輸入していて、引き続きアメリカとの間で交渉を続けて、制裁措置の適用を受けない「例外規定」を求めていくものとみられますが、アメリカ側は例外を認めない考えで、協議は難航することも予想されます。

日本への影響

イランは、原油の埋蔵量で世界4位の有数の資源国で、日本は去年、原油全体の5%余りをイランから輸入しています。

これは、サウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦などに続いて6番目に多く、貴重なエネルギー源の調達先となってきました。

このため、仮にアメリカの制裁が適用されれば、日本は原油の調達先で大幅な変更を迫られることになります。

日米両政府は、今月中旬にイランへの制裁に関する協議を行い、外交筋によりますと、アメリカ側が原油の輸入を完全に停止するよう求めたのに対し、日本側は、イラン核合意を支持する方針を伝えたうえで、原油の輸入については維持したい考えを示し、議論は平行線をたどったということです。

イランは核開発疑惑によって2012年にもアメリカから原油を輸出できなくする制裁を科されましたが、この時、日本は、イランからの輸入を段階的に減らすことで例外規定の適用を受けていて、今回もこうした措置の対象になるかが焦点となります。