サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会で2大会ぶりの決勝トーナメント(T)進出を決めた日本代表(世界ランキング61位)は29日、1次リーグ(L)H組最終戦のポーランド(同8位)戦から一夜明け、キャンプ地・カザンでトレーニングした。0―1で敗れたポーランド戦終盤はボール回しに終始し、追加点を許さなかった。そのときの思いを改めて選手は口にし、7月2日(日本時間3日午前3時)の決勝T1回戦のベルギー(同3位)との対戦に向けて気持ちを高めていた。
「ああいう戦い方になったのは、様々な議論があると思う。今日はチーム全員でミーティングもして、代表チームは次に向かって進んでいる」。スコアを動かさず、不要なイエローカードも受けずに試合を終わらせる指示を受けて後半37分から出場した主将のMF長谷部誠はそう話し、ポーランド戦については多くを語らなかった。
一方ベンチから一番遠く、指示が受け取りにくい右サイドで後半プレーしていたDF酒井宏樹は「終わってからほっとした」。決勝T進出のかかる1次L3試合を1試合ととらえ、ポーランド戦終盤は後半42分に1―0でプレーしている感覚で臨んでいたという。終盤のボール回しについては「どの職業でもそうだと思うが、一度でもその道を極めようと目指した人は理解出来ると思う。いろんな意見はあると思うけど、結果で示せるように」と、次戦以降の戦いへ目を向けた。
この試合は出番のなかったMF原口元気は、言葉を選びながらボール回しについて硬い面持ちを浮かべた。「言いたい人は言いたいと思う。正直な話、勝負の世界で生きてて、本当に国を背負って真剣勝負している人だったら、僕らの気持ちがわかると思う」。そして「どれだけ僕らが準備してきて、3試合で突破するということを考えてきたなかで、僕らがどれだけ戦ってポイントをとってきたかというのは見ている人だったら、わかると思う。だから僕は恥ずべき事ではないと思う。(1次Lを)突破したことに誇りを感じている」と語った。
次戦は、日本史上初となる8強入りがかかるベルギーとの決勝T1回戦。原口はチームの思いを代弁するかのように話した。「本当のW杯はここからだと思うし、何のためにロシアにきたかというと、次の試合のために勝つために来た」(カザン=堤之剛)