アメリカ軍は、北大西洋を管轄する第2艦隊を7年ぶりに復活させるとともに、最新鋭の兵器の開発を担う新たな組織を立ち上げ、中国とロシアに対抗する国防戦略のもと、軍事力の強化を急ぐ姿勢を鮮明にしています。

北大西洋を管轄するアメリカ海軍第2艦隊は、国防予算の削減などを受け、2011年に当時のオバマ政権が解体しましたが、アメリカ海軍は再びロシアの軍事的脅威が高まっているとして、7年ぶりに復活させました。

司令部が置かれるバージニア州ノーフォーク基地では、24日、艦隊の復活を祝う式典が行われ、アメリカ海軍トップのリチャードソン作戦部長は「ロシアの台頭によって安全保障環境は大きく変わっている。紛争を避ける最良の道は競争力のある海軍力を増強させることだ」と述べ、ロシアに対抗する形で海軍力を強化する考えを強調しました。

一方、アメリカ陸軍も24日、テキサス州ヒューストンに最新鋭の兵器の研究や開発を担う「未来司令部」と呼ばれる新たな組織を立ち上げました。

未来司令部では軍備の近代化を進める中国とロシアに対抗し、アメリカ国内の大学や産業界とも連携し、最先端技術を取り入れた兵器の開発を進める方針で、トランプ政権は国際秩序への脅威だとする中国とロシアへの対応を最優先の課題とする国防戦略のもと、軍事力の強化を急ぐ姿勢を鮮明にしています。

米海軍第2艦隊とは

北大西洋を管轄するアメリカ海軍第2艦隊は、東西冷戦のさなかの1950年に創設されました。

1962年のキューバ危機では、カリブ海での海上封鎖作戦に参加するなど、ロシアの軍事的脅威に対抗する中心的役割を果たしてきました。

しかし、2011年に当時のオバマ政権下で、国防予算の削減や、ロシアの脅威が解消したことなどを理由に、上部組織である艦隊総軍に吸収される形で解体されました。

そのあと、ウクライナ情勢やシリアの内戦などを通じて、アメリカとロシアが軍事的に対立を深めるとともに、北大西洋でのロシア軍の潜水艦活動の拡大などへの懸念が高まる中、アメリカ国内では第2艦隊の復活を求める声が高まっていました。