• 米中貿易戦争が本格化、両国とも一歩も譲らず
  • 中国は今週のワシントンでの貿易協議を取りやめ

世界1、2位の経済規模を誇る米中両国は長期にわたる激しい貿易戦争への備えを固めている。久しぶりに好調となった世界経済は米中貿易戦争の悪影響を乗り切れるか試されることになる。

トランプ米政権は米東部時間24日午前0時(日本時間同日午後1時)すぎ、通商法301条に基づき中国による知的財産権の侵害に対抗する制裁関税の第3弾として、中国からの輸入品2000億ドル(約22兆5600億円)相当を対象とする10%の追加関税を発動した。中国は直ちに米国製品600億ドル相当に関税を課す報復措置を取った。事情に詳しい複数の関係者によると、中国は今週予定されていたワシントンでの貿易協議を取りやめた。中国指導部の間では、本格的な米中貿易協議は11月の米中間選挙後までは不可能という見方が強まっているという。

  24日の米株式相場は、米中貿易戦争の長期化という現実に直面し下落した。

フィッチ・レーティングスは世界見通しに関する最新リポートで、米中は激しさを増す非難の応酬から、世界経済に打撃を与える行動へと移りつつあると指摘。フィッチのチーフエコノミスト、ブライアン・コールトン氏はリポートに「貿易戦争はいまや現実となった」と記した。フィッチは2019年の世界成長見通しを0.1ポイント引き下げ3.1%とし、さらなる下振れリスクがあると警告した。

対中関税第3弾の対象品目は冷凍肉からテレビ部品に至るまで多岐にわたる。トランプ大統領は中国が報復措置を講じればさらに2670億ドル相当の中国製品への新たな関税を実施すると警告している。この警告が実行に移されれば、昨年の中国からの輸入額の全てが対象となるため、多国籍企業のサプライチェーンを動揺させかねない。

中国は22日、米当局との通商協議を取りやめた。米国務省が中国共産党中央軍事委員会の装備発展部と部長を制裁対象としたことが決定を促したと事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。中国政府内では、トランプ政権との実質的な交渉が可能になるのは、11月の米中間選挙が終わってからとの意見が強まっているという。

ホワイトハウスのウォルターズ報道官は電子メールで配布した発表文で、「トランプ大統領は中国の習近平国家主席と素晴らしい関係を築いており、政権チームは大統領の就任以降、頻繁に連絡を取り合っている。われわれは中国との継続的な協議に引き続きオープンな姿勢だが、中国は不公正な貿易慣行について意味のある対応を行う必要がある」との立場を示した。

中国政府は24日に発動した報復関税で、コンピューターや繊維製品など約1600品目に5%、化学製品や肉類、小麦、ワイン、液化天然ガス(LNG)など3500品目余りに10%の関税をそれぞれ上乗せした。

原題:Trade War Reality Sets In as U.S and China Stick to Their Guns (抜粋)