[ワシントン 26日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は26日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.00─2.25%に引き上げることを決定した。利上げは予想通り。決定は全会一致だった。

今後の見通しについては、年内は12月にあと1回の利上げが実施されると予想。2019年は3回、20年は1回との見通しを示した。この通りに利上げが実施されれば、FF金利誘導目標は3.4%に達すると予想され、FRBが推定する「中立」金利を約0.5%ポイント上回ることになる。

FRBは声明で、「労働市場が引き締まり続け、経済活動が力強い速度(at a strong rate)で拡大していることを示している」と指摘。今回の声明では金融政策の運営姿勢は引き続き「緩和的」との文言は削除された。これに代替する文言は挿入されていない。

この「緩和的」との文言は過去約10年間にわたり金融市場、および家計に対するガイダンスの中心となっていたが、FRBが2015年終盤にゼロ金利政策の解除に動いてからは、正確性が徐々に薄れていた。今回の声明でこの文言が削除されたことは、FRBが現在は金利が中立的な水準に近いと考えていることを示している。

今回の利上げは今年に入ってから3回目。過去8四半期では7回目となる。

FRBが公表した最新の経済見通しでは、 実質国内総生産(GDP)の伸びは18年は3.1%になるとの予想が示されたものの、減税策と政府支出拡大策の影響が薄れるにつれ、19年は2.5%、20年は2.0%、21年は1.8%に減速するとの予想が示された。

インフレ率については向こう3年間は2%近辺で推移すると予想。失業率は18年が3.7%、19年と20年は3.5%と予想。21年には3.7%にやや上昇するとの予想が示された。

ステート・ストリート・グローバルアドバイザーズの首席投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏は、FRBが今回の声明から「緩和的」との文言を削除したことについて、「金融政策はこれまでよりも緩和的でなくなってきており、中立金利に近付いているとの認識をFRBが持っていることを示している可能性がある」としている。

パウエルFRB議長は声明発表後の会見で、文言の削除は政策見通しの変更を意味しているわけではないと述べ、「むしろ、金融政策が予想通り推移していることを示している」と説明した。

トランプ大統領のFRBに対する批判について政策当局者が議論したかどうかは述べなかった。トランプ氏は先月、FRBの利上げに対する不満を示し、景気を底上げするためにFRBは今以上の措置を講じるべきだとの考えを示した。

パウエル氏は「われわれが政治的な要因などを考慮することはない」と述べ、中銀は今後も中立的であり続けると強調した。