サウジアラビア政府を批判してきたジャーナリストがトルコにあるサウジアラビア総領事館で殺害されたのではないかという疑惑で、トルコ当局は総領事館関係者から話を聞くなど捜査を進めるとともに、捜査結果がまとまり次第、公表する方針を示しました。

サウジアラビア人ジャーナリストで、政府を厳しく批判してきたジャマル・カショギ氏は今月2日、滞在先のトルコにあるサウジアラビア総領事館を訪れたあと行方がわからなくなり、館内で殺害されたのではないかという疑惑が出ています。トルコの検察は19日、総領事館の従業員らを呼び、カショギ氏が消息を絶つ前後の館内の状況などについて話を聞きました。

チャウシュオール外相は同じ日、「われわれは捜査と分析を通じていくつかの情報と証拠を得ている。捜査結果がまとまり次第、全世界に知らせる」と述べました。

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは、並行して捜査を行っているサウジアラビア政府が、ムハンマド皇太子の側近に責任をとらせて事態の収拾を図ることを検討していると伝えました。

それによりますと、サウジアラビア情報機関の高官で皇太子の側近が、尋問のためカショギ氏を連れてくるよう皇太子から口頭で指示を受けたものの、その内容を誤解したか指示を逸脱してカショギ氏の殺害を主導したと説明する見込みだとしています。

ムハンマド皇太子は疑惑への関与を否定していて、トルコとサウジアラビアのそれぞれの捜査の行方が注目されます。

殺害の音声記録「米国務長官が確認」を否定

アメリカのABCテレビは18日、トルコ政府高官の話として、カショギ氏の殺害の様子を収めたとする音声記録をポンペイオ国務長官が確認するとともに、内容を記した文書の提供を受けたと伝えました。

これに対してトランプ大統領は19日、ツイッターに「ポンペイオ長官はサウジアラビア総領事館で起きたことについて、文書の提供は受けていないし映像も見せられていない。フェイクニュースだ」と投稿しました。

トランプ大統領は18日、カショギ氏はすでに死亡しているという見方を示しましたが、判断の根拠については明らかにしていません。