【ワシントン時事】２回目となる米中閣僚級の外交・安全保障対話が９日、ワシントンで開かれ、ポンペオ米国務長官は終了後の共同記者会見で、中国による南シナ海の軍事化に懸念を表明した。一方、中国の楊潔※（※竹カンムリに褫のツクリ）共産党政治局員は「外部からの脅威に対応するために治安用施設が必要だ」と反論。主要議題で米中の意見対立が改めて浮き彫りになった。

米中の貿易摩擦が激化する中、ポンペオ氏は「米国は冷戦や対中封じ込め政策を求めていない」と強調。月末からアルゼンチンで開催される２０カ国・地域（Ｇ２０）首脳会議に合わせて行われる予定の米中首脳会談に向けて緊張緩和を目指したが、双方の主張は平行線をたどった。

ポンペオ氏は会見で、「（南シナ海を軍事化しないという）過去の約束を果たすべきだと中国に求めた」と明かした。これに対し楊氏は、南シナ海での人工島建設について「大部分が民生用の施設だ」と主張。中国の過剰な海洋権益を否定するため米軍が南シナ海で実施している「航行の自由作戦」を念頭に、中国が支配する島々の周辺へ艦艇や航空機を派遣しないよう米国に要求した。