[モスクワ/キエフ 26日 ロイター] – ロシアが25日にクリミア半島沖でウクライナの艦船3隻を砲撃後に拿捕(だほ)した問題で、ロシアは26日現在、艦船と乗組員の解放を巡る西側諸国の要請に応じていない。
ウクライナ政府はロシアによる攻撃を非難。ウクライナには自国を防衛する権利があるとし、軍隊を完全な戦闘態勢に置いた。ポロシェンコ大統領は28日付で全土に戒厳令を発令する方針を表明。発令期間は30日間となる。
ロシア外務省はウクライナに非があるとして同国を非難。声明で、今回の事件は対ロシア制裁の一段の厳格化を目的に計画されたものだったとの見解を示し、「ウクライナが米国、およびEUと手を組んで追求しているアゾフ海と黒海でロシアとの紛争を引き起こす政策は、深刻な結果を招くとウクライナに対し警告する」とした。
ロシア連邦保安局(FSB)はウクライナ艦船はロシアの領海を侵犯したとし、刑事事件として捜査を始めたと表明。ペスコフ大統領報道官は拿捕は国際法、および国内法に厳格に則った措置だったとの見解を示している。
ロシアのインタファクス通信は人権団体の話として、26日現在、24人のウクライナ人乗組員の身柄が拘束されていると報道。砲撃で負傷した3人の乗組員の容態は深刻ではなく、病院で手当を受けているとしている。また目撃者によると、クリミア半島のケルチ港に停泊しているウクライナの3艦船の船体に目立った損傷はない。
アゾフ海の西岸に位置するクリミア半島は現在はロシアが支配しており、東岸もロシア領となっているが、北岸はウクライナ領となっており、アゾフ海ではこれまでも緊張が高まっていた。
事件を受けロシアルーブルは対ドルで1.4%下落。1日の下落としては11月9日以来の大きさとなっている。