1日、ブエノスアイレスでの2国間会談で握手するロシアのプーチン大統領(右)とサウジアラビアのムハンマド皇太子(AFP時事)

【ブエノスアイレス時事】トルコでのサウジアラビア人記者殺害事件への関与が疑われ、国際的に非難の目を向けられているムハンマド・サウジ皇太子が、ブエノスアイレスでの2日間にわたる20カ国・地域(G20)首脳会議を乗り切った。

【地球コラム】サウジ皇太子射すくめるトルコの野望

 現地入り数日前には、国際人権団体が自国民迫害などで皇太子をアルゼンチン当局に告発し、司法が動きだす事態に。到着後も好奇の目が付いて回った。30日の公式撮影では、ほとんどの首脳が皇太子の前を素通り。握手を交わして談笑する各首脳を横目に、ひな檀の端でこわばった表情でうつむいた。

その後、立ち話を含めて多くの首脳と言葉を交わしたが、マクロン仏大統領には国際的な専門家チームによる事件捜査の必要性を説かれ、メイ英首相には「記者殺害に関与した者の責任を問い、再発防止に向けた行動を起こす」よう求められるなど防戦一方。トランプ米大統領や安倍晋三首相とはあいさつをした程度だった。

そんな皇太子を「励ました」のは、自身も人権侵害の批判がついて回るプーチン・ロシア大統領だった。30日の会議で隣の席に着く際、プーチン氏の方から誘うように、手のひらを打ち合わせる若者式の親しげなあいさつ。皇太子の顔がほころんだ。(2018/12/02-14:47)