[サンパウロ/東京 10日 ロイター] – 日産自動車(7201.T)前会長のカルロス・ゴーン容疑者が、ブラジル・リオデジャネイロの住宅から「個人の所有物や文書、現金、物品、美術品」の回収を求めていることが、同社がブラジルの裁判所に提出した文書で分かった。日産によると、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で逮捕・起訴された事件の証拠を含む可能性があるという。
文書によると、日産が所有しているこの住宅には3つの金庫が設置されており、同社はまだ中身を確認できていない。ゴーン氏解任後に住宅を調べたところ、金庫を発見したという。他にも、デザイナー家具や美術品、装飾品があったという。
ゴーン氏の弁護士が先月29日、裁判所に住宅への立ち入りを裁判所に要請していた。
日産は、立ち入りを認めれば、事件の証拠となり得る物が破壊されるリスクが大きいとしている。ブラジルの裁判所はこれまで、立ち入りを認めていない。
ゴーン氏の弁護士は、同氏が3つの金庫があることは知らないと説明。事件の証拠が収められていると考えるのは「ばかげた憶測」としている。
東京地検特捜部は10日、日産の有価証券報告書に役員報酬を約50億円少なく記載したとして、ゴーン容疑者と前代表取締役、グレゴリー・ケリー容疑者、法人としての日産を金融商品取引法違反の罪で起訴。また新たに約40億円の報酬を有価証券報告書に記載しなかった金融商品取引法違反の疑いで、ゴーン容疑者とケリー容疑者の2人を再逮捕した。