【ワシントン時事】米連邦政府の暫定予算をめぐる議会与野党の調整が21日、決裂し、政府機関の一部が閉鎖に追い込まれた。トランプ大統領が、公約のメキシコ国境の「壁」建設費50億ドル(約5600億円)の予算化を譲らなかったことが最大の要因。一時は軟化を見せながら、強硬路線に回帰した背景には、支持基盤からの強い突き上げがあった。
トランプ氏は21日、「政府閉鎖の責任は民主党にある」とツイッターで主張。不法移民の侵入を阻止する鋼鉄製の壁のデザインも投稿し、公約達成に進んでいることをアピールした。
壁の予算化を拒む民主党に対し、トランプ氏が歩み寄るかに見えた瞬間もあった。サンダース大統領報道官は19日、財源を各省庁の既存予算で捻出する代替案の作成をトランプ氏が指示したと説明。壁建設費抜きの暫定予算案を受け入れ、政府閉鎖は回避されるとの見方が広がった。
だが、壁建設はトランプ氏の公約の柱。普段はトランプ政権寄りのFOXニュースでさえ、番組ホストが「支持者は『ちょっと待て、諦めたのか』と思っている」と指摘。かつてトランプ氏を「神」と呼んでいた保守系コラムニストのアン・コールター氏も「壁のない国の腰抜け大統領」と断じるなど、支持基盤の戸惑いは隠せなかった。
年明けから民主党が下院の多数派を握り、トランプ氏の公約実現は難しさを増す。だが、トランプ氏周辺からは「戦う姿勢が支持者の心に残ることが大事だ」という本音も漏れており、協調路線に向かう兆しは見えない。(2018/12/22-15:36)