[ムンバイ/デリー 27日 ロイター] – 関係筋によると、米アップル(AAPL.O)は、早ければ来年にもインドで「iPhone」の最上位機種の組み立てを開始する。
組み立ては台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業(2317.TW)の現地子会社を通じて行う。鴻海がインドでiPhoneを生産するのは初めて。「iPhone X」など最上位機種を組み立てる。アップルのインド事業が新たな局面に入る可能性もある。
組み立てはインド南部タミルナド州スリペルブデュールにある鴻海の工場で行う。タミルナド州のサムパト産業相がロイターに明らかにしたところによると、鴻海はiPhone生産への投資も含め、工場の拡張に250億ルピー(3億5600万ドル)を投資する予定。この投資により、最大2万5000人の雇用が創出される可能性があるという。
地元紙ザ・ヒンドゥーは今月24日、鴻海のインド工場で様々なモデルのiPhoneの生産が開始されると報じていた。
ある関係筋はインドでの組み立てについて、米中貿易摩擦の影響を回避する狙いがあると説明した。貿易摩擦が激化の一途をたどる中、アップルにとって組み立て工場を中国以外の地域に拡大することは必須となっている。ベトナムの国営メディアは今月、鴻海が米中貿易摩擦の影響軽減に向けベトナムでの工場新設を検討していると報じた。
IT専門調査会社IDCの幹部は「鴻海を通じてインドでiPhone生産を拡大することでアップルは米政府の通商政策リスクを回避できる」と述べた。
アップルの広報担当者はコメントを差し控えた。鴻海の広報担当者は顧客や製品に関してコメントしないとした。
アップルはこれまで、インドでは相対的に価格が安い「SE」や「6S」の組み立てしかしていなかった。両モデルは、台湾の緯創資通(ウィストロン)(3231.TW)の子会社を通じてインドのベンガルールで組み立てていた。