[ワシントン 17日 ロイター] – トランプ米大統領は17日、米国のミサイル防衛強化に向けた新戦略「ミサイル防衛見直し(MDR)」を発表した。 

トランプ大統領は国防総省で演説し、「米国の目的はシンプルだ。いかなる場所からいつ米国にミサイルが発射されても感知し、破壊することを確実にする」と言明した。 

トランプ大統領は北朝鮮のミサイルを脅威として直接言及することは避けたものの、MDRは「北朝鮮との和平構築に向けた新たな可能性が開かれたものの、北朝鮮は引き続き深刻な脅威であり、米国は引き続き警戒する必要がある」と指摘した。 

北朝鮮に加え、イラン、ロシア、中国の攻撃能力の向上についても脅威と強調した。 

MDRはまた、敵のミサイルを迎撃できる宇宙空間での兵器配備など、実験的な新技術の研究開発を提言。ミサイルの探知・追跡能力を向上させ、中国が開発で優位に立つ極超音速兵器への対抗を可能にする宇宙空間でのセンサー配備に向けた投資の必要性を訴えた。 

トランプ大統領は「あらゆるタイプのミサイル攻撃から米国民を守る」とした上で、「これまで、米国には弾道ミサイルを超えるミサイル防衛の包括的戦略がなかった。われわれの計画の下でこれは変わる。巡航ミサイルや極超音速ミサイルを含むいかなるミサイル攻撃を防ぐためにも米国は今、態勢を整える」と述べた。 

また「米国内のあらゆる都市を守ることができるミサイル防衛システムを確立すると約束する。この対策を実行する権利を交渉によって放棄することは決してない」と語った。 

トランプ大統領はイランについて言及しなかったが、MDRではイランが中東最大の弾道ミサイルを所有していると指摘した。 

トランプ大統領はさらに「発射の有無にかかわらず、米国をターゲットとした」ミサイル攻撃に対する防衛に制限は課さないと言及。「運任せにはしない。行動を起こすのみだ」とした。 

米政府は核兵器がロシアや中国の抑止力になると期待しており、MDRはこの点を強調。米国は大国との戦争になった場合、地上配備型ミッドコース防衛システム(GMD)を制限なく使用する意向を示した。 

インタファクス通信によると、ロシア上院のボンダレフ国防・安全保障委員長は、米国の新たなミサイル防衛戦略が世界的な緊張を高めるとの見方を示した。