【パリ時事】フランス政府の燃料増税に端を発した毎週土曜日の抗議運動は、26日で11週目を迎えた。規模は縮小したものの、国民の多くはマクロン大統領の痛みを伴う改革に不公平感を抱き続けている。デモは常態化し、参加者から5月の欧州議会選に候補者を擁立する動きも出てきた。
抗議運動の激化を受け、マクロン氏は昨年12月、燃料増税の中止や最低賃金の引き上げを表明した。今月15日からは各地で自治体や住民と対話する「国民討論会」を開始。マクロン氏の支持率はやや回復した。
だが、企業の活力回復を重視するマクロン氏の改革を「金持ち優遇」と非難する声は根強い。26日のデモ参加者は仏全土で約6万9000人と先週の約8万4000人からやや減ったが、収束の兆しは見えない。
デモ参加者の主張は貧困対策や年金問題、公共サービス改善など多岐にわたる。欧州議会選の筆頭候補者となった女性は仏公共ラジオに出演し「私たちの声が確実に聞き入れられるようにしなければならない」と語り、支持を呼び掛けた。
もっともデモ運動には司令塔が存在せず、議会選へ向け団結した動きが生まれるかどうかは不透明だ。ある参加者は仏テレビに「抗議運動は自発的な市民運動だ。誰かに代表してもらう必要はない」と述べた。(2019/01/28-07:11)