イギリスのメイ首相が、EU=ヨーロッパ連合からの離脱協定案の修正に向けてEUと再交渉をする考えを示したことを受けて、EUのユンケル委員長は「無秩序な離脱のリスクが高まった」と指摘し、再交渉には応じない姿勢を改めて示しました。
イギリス議会が29日、EUと合意した離脱協定案のうち、北アイルランドの国境管理の条項について「代わりの案を求める」という動議を可決したことを受けて、メイ首相は離脱協定案の修正に向け、EUと再交渉したいという考えを示しました。
これについて30日、ヨーロッパ議会で演説したユンケル委員長は「イギリス議会の採決によって無秩序な離脱のリスクが高まった」と指摘し、再交渉には応じない姿勢を改めて示しました。
また、30日、メイ首相と電話で会談したEUのトゥスク大統領も再交渉には応じない考えをメイ首相に直接伝えたことを明らかにしました。
その上で、イギリス議会が「合意なき離脱を拒否する」という動議も可決したことについて「イギリスが何を望まないかは分かったが、何を望むのかは依然分からない」と述べ、再交渉以外の具体的な代案を示すよう求めました。
イギリス議会の承認を得るため再交渉を求めるメイ首相に対してEUはこれを完全に拒否していて、離脱まで2か月を切る中、事態打開の糸口が見つかるのか懸念が高まっています。