最近はゲノム編集に関連したニュースが増えているような気がする。今朝も1回で5000万円すると言われている白血病治療薬を厚労省薬事・食品衛生審議会が認可したと言うニュースが目についた。産経新聞によると免疫細胞を活用して若年性の白血病を治療する薬で、スイス製薬大手「ノバルティス」の日本法人「ノバルティスファーマ」が申請していたもの。商品名は「キムリア」、厚労省は早ければ3月にも正式承認する見通しとある。米国では投与1回の単価が5千万円以上で、高額な価格と高い効果が国際的に注目されている。白血病といえば日本競泳界のエース・池江璃花子選手(18)が最近この病気であることを公表したばかり。同選手にこの薬が効けばと願うばかりだが、1回5000万円とはあまりにも高すぎる。

このニュースに合わせたわけではないだろうがNHKは今朝、「国の専門家会議は遺伝子を直接体内に入れて働かせる遺伝子治療薬を、国内で初めて承認する方針を決めた」というニュースを流している。血液が流れにくくなり、足の一部がえ死する「重症虚血肢」の治療で、バイオベンチャー企業のアンジェスが申請していた遺伝子治療薬「コラテジェン」を承認する見通しだと伝えている。ちょっと古いが読売新聞は18日に、慶応大の研究チームが厚労省の再生医療等評価部会からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って脊髄損傷を治療する計画の了承を得たという記事を掲載した。同チームは今秋にも最初の移植を行う計画で、この治療自体が世界初の試みだという。ヒトのiPS細胞もゲノム編集の一種だ。

今年に入って中国でHIVに罹患した親の受精卵をゲノム編集し、HIV耐性をもった双子の赤ちゃんが誕生したというニュースが報道された。中国政府はこれに関わった研究者を倫理違反として追放処分にしている。動植物の設計図と言われる遺伝子。これを操作して難病の治療を可能にするゲノム編集は、米中が競って開発競争を繰り広げている。日本もiPS細胞の山中伸弥教授、免疫治療の本庶佑教授など最先端分野でノーベル賞を受賞する実績を誇っている。しかし、全体的にみると米国や中国の後塵を拝しているというのが一般的な評価だ。そのゲノム編集分野できのう、きょう新しい動きが表面化している。メディアが意図的にそうした動きをピックアップしているのか、研究現場が活発に動いている証拠か判然とはしないが、話題になることはいいことだろう。