[ロンドン/ブリュッセル 20日 ロイター] – 英国のメイ首相は20日、欧州連合(EU)離脱期日を6月30日まで3カ月延期するようEU側に要請した。英議会で2回否決された離脱協定案の承認に向け時間を稼ぎたい考えだが、フランスやEUの執行機関である欧州委員会は要請に反対する考えを示した。 

メイ首相は議会で「首相として、EU離脱を6月30日以降に先送りする用意はできていない」とし、「このため、EU基本条約(リスボン条約)50条に基づく交渉期限を6月30日まで延長するよう、トゥスクEU大統領宛に今朝、書簡を送付した」と述べた。 

その上で「政府は(離脱協定案の)意義ある3回目の議会採決を行いたいと考えている。可決されれば、交渉期限の延長で下院は離脱協定案を討議する時間が得られる。否決されれば、下院は今後どのように進めるのか決める必要がある」と述べた。 

EU当局者は、トゥスク大統領が離脱期日の延長を正式に要請するメイ首相の書簡を受け取ったことを明らかにした。 

一部のEU加盟国はメイ首相による離脱期限の延期要請を歓迎。ドイツ高官は、5月下旬の欧州議会選まで離脱を延期させることは法的に問題にならないとの見解を示した。 

これに対し、欧州委員会のユンケル委員長は、離脱が5月24─26日に実施される欧州議会選挙以降に延期されることについて警告し、離脱が5月23日以降になる場合、英国も欧州議会選に参加する必要があるとの考えを示した。 

またフランスのルドリアン外相は、離脱協定案が英議会で承認されるという確約をメイ首相が提示できなければ、延期要請は認められないと指摘した。 

ロイターが入手したEU文書は、離脱期日の延期は欧州議会選挙より前の短期間か、少なくとも今年末までの長期間のどちらかと指摘。「英国に提示する延長は、2019年5月23日までか、英国が欧州議会選挙に参加する必要がある、より長期間となる。これがEUの機能と意思決定能力を保持する唯一の方法だ」としている。 

一方、トゥスク大統領は、来週の英議会で協定案が承認されるという条件で、短期間の離脱延期については認める考えを示した。