国民民主党内で「解党」を求める声がくすぶり始めた。玉木雄一郎代表が主導する自由党との合併構想に展望が見いだせないという理由で、一部議員が立憲民主党を軸にした野党再編志向に傾いているのだ。動揺につけ込むように、立憲民主党側はじわじわと切り崩しの触手を伸ばしている。
13日夜、玉木氏を含む国民民主、立憲民主両党の中堅議員ら10人が東京・赤坂の居酒屋に集まった。旧民進党出身者の「同窓会」を思わせるなごやかな雰囲気は、玉木氏の途中退席後に一変した。国民民主党所属議員が異口同音に「解党」を唱え始めたからだ。
「玉木氏は大きな野党の固まりを作るというが、無理ではないか。いっそ解党したほうが早いのでは…」
3月上旬には、この会合の顔ぶれとは別の若手数人が玉木氏と面会し、自由党との合併後の展望をただした。面会に先立つ打ち合わせでは玉木氏に解党を進言すべきだとの意見も出た。最終的にこの提案は見送られたが、若手に広がる動揺の深刻さを印象づけた。
さざ波のように各所から「解党論」が沸き起こる理由は、合併構想のゴールが見えないことに尽きる。
玉木氏は、小沢一郎代表率いる自由党との合併後、野田佳彦前首相らを含む旧民進党系勢力を糾合し、野党再編に消極的な立憲民主党の「外堀を埋める」(玉木氏周辺)筋書きを描く。しかし、野田氏らとの合流が実現する兆しはない。それどころか、野田氏や立憲民主党の枝野幸男代表が距離を置く小沢氏と組むことによって国民民主党が孤立を深める可能性すらある。
国民民主党を解党し、立憲民主党のもとに結集したほうが得策ではないか-。党内にこんな不安が広がるのも無理はない。動揺を見透かすように、立憲民主党の衆院会派に所属する安住淳元財務相らベテランは国民民主党の若手に対して揺さぶりをかけ始めた。
「『大きな固まり』を作るためには、まず無所属になって、頃合いをみて立憲民主党に入ったらいい」
安住氏は2月末、国民民主党若手との会合でこう促した。立憲民主党の外堀を埋める目的の合併構想をきっかけに、逆に相手方から切り崩しを受ける展開は皮肉というほかない。
「解党を訴える動きが出たら、もう止められない。じわりと広がっていく」
立憲民主党幹部はこうほくそ笑んだ。(奥原慎平)