トランプ大統領

アメリカのトランプ大統領は、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と会談し、北朝鮮への対応を話し合いました。トランプ大統領は3回目の米朝首脳会談に前向きな姿勢を示す一方で、制裁を解除するためには北朝鮮が核兵器を完全に放棄する必要があると強調しました。

トランプ大統領はホワイトハウスで日本時間の12日午前1時から韓国のムン大統領と去年11月以来となる首脳会談を行いました。

会談の冒頭、トランプ大統領は「3回目の米朝首脳会談を行う可能性があるが、キム委員長の対応しだいだ。急ぐのではなく、正しい合意が必要だ」と述べました。そのうえで「段階的な合意もありうるが、いま議論しているのはビッグディール=『一括の合意』だ。北朝鮮の核兵器を取り除く必要がある」と述べ、制裁を解除するためには北朝鮮が核兵器などを完全に放棄する必要があると強調しました。

これに対しムン大統領は「北の完全な非核化という最終的な目標について完全に共感している。重要なのは、対話の勢いを維持して近いうちに3回目の米朝首脳会談を開けるという展望を世界に与えることだ」と述べ、アメリカと足並みをそろえていくと強調しました。

一方、ムン大統領は非核化を進めるためには制裁の一部緩和が必要との考えを示していて、今回の会談でクムガン山(金剛山)の観光事業やケソン(開城)工業団地の操業再開などを提案したものと見られます。

これについてトランプ大統領は会談の冒頭「いまは適当な時期ではない」と否定的な考えを示し、会談後に発表されたホワイトハウスの声明でも「経済協力には適切な条件が必要だ」としており、安易な制裁緩和は認められないとくぎを刺したものとみられます。

ムン大統領「南北首脳会談を推進する計画」

会談のあと韓国大統領府のチョン・ウィヨン(鄭義溶)国家安保室長は記者会見を開き、ムン・ジェイン大統領が「近い将来、南北首脳会談を推進する計画だ」と述べ、今後、北朝鮮側との調整を進める考えを示したことを明らかにしました。

韓国大統領府の高官によりますと、これに対してトランプ大統領は「韓国政府が北朝鮮の立場を把握すれば、可能なかぎり早急に知らせてほしい」と要望したということです。

また、ムン大統領は早い時期にトランプ大統領が韓国を訪問するよう要請し、これに対しトランプ大統領は謝意を示したということです。

一方、会談の冒頭、トランプ大統領が記者団に対し、クムガン山の観光事業とケソン工業団地の再開について「いまは適当な時期ではない」と否定的な考えを示しましたが、これについて韓国大統領府の高官は「両国の意見の違いがあらわになった訳ではない。多様な意見があり、会談では虚心たん懐に議論した」と述べるにとどめました。